[携帯モード] [URL送信]
*





「…ありがとう」
「良いって、これくらい」

あれから、カンセルはナマエをフロアに据え置かれているソファに座らせ、自分も隣で支えるように座った。
ナマエはカンセルの片口に額を当ててもたれかかっていた。
もう身体から力が抜けきってしまったかのように、ナマエの身体はピクリとも動きはしなかった。

「お前は、強いな…」

カンセルは小さく呟き、ナマエの髪の毛を優しく梳いてやる。

「?」
「俺だったら、狂っちまうよ…自分にこんな事が起きたら」

お前は涙さえ流さずに、この状況に耐えているのにな

カンセルはナマエの頭に置いた手に少し力を込めた。
これはほめられているのだろうか、指摘されているのだろうか…
ナマエは頭の隅でそんなことを考える。

「それは違う…」
「?」


だって、涙をこらえているわけじゃないもの
耐えているわけじゃないもの


「どうしてかな…」


どうしても、
涙が出て来ないんだ

[*前へ][次へ#]

6/16ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!