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まだ知らぬ重み


「また寝坊か」
「本社ビルに向かう途中でガタイのイイあんちゃんに肩ぶつけて絡まれてメンチのきりあいしてたらさあ」
「その言い訳…設定に懲りすぎだ。もう少し簡潔な言い訳にしろ」
「ようするに圧勝」
「お前ちょっと外で立っていろ」




未だ知らぬ重み




ナマエは決まって休み明けに寝坊をする。最近は変な言い訳までするオプション付き。
アンジールが言っていたように、朝に随分と弱いらしい。毎朝毎朝、寝癖も直ず半開きの目で出勤してくるのだ。

「ナマエって低血圧?」
「分かんない…高血圧ではないけど」
「いや別に低血圧じゃなかったら高血圧とかそういうんじゃないけどさ」

そこまで朝に弱いわけではないザックスは、最近は早めに来て寝ぼけ眼のナマエのために冷たい水で絞ったタオルを用意しておくことが日課になった。
ナマエはタオルを受け取ると顔に貼り付けて、ようやく覚醒するのだ。
冷たいタオルがとても気持ちいいらしく、ナマエの寝起きの顔にほんのり笑みが浮かぶ。
その様子を眺めていると、ザックスもやりがいを感じるらしかった。

「生き返るー」
「出勤前に自分でやってこいよ」
「だって、時間ないし」
「だろうな」

ザックスはナマエの寝癖のある頭を更にグシャグシャにかき回した。
止めてよ、とナマエは振り払おうとするが力は全くこめていなかった。

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あきゅろす。
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