まるでアレルギー
「ファルコ!!」
「少しは大人しくしろ」
落ち着きなくベッドの上で、もぞもぞ動くフォックスに布団を掛け直すと、ちょうど腋に挟ませていた電子体温計から電子音が聞こえてきた。
体温計を取り上げて小さなディスプレーを覗くと
「ほら、お前が大人しくしないからだぜ」
そこにはエラーを知らせる文字がが表示されていた。
これでエラーが出たのは二度目になる。
「しょうがないだろ!この布団、羽毛100%以上に羽毛があるんだ!」
「何言ってるか分からねえよ」
もぞもぞ暴れるフォックスを布団に押さえつけて
「ファルコッ!!」
閉ざされた腋に無理やり体温計ねじ込んでやる。
「次エラー出しやがったらケツに体温計ぶち込むからな」
「エラーが出るのは少なからずファルコにも責任があるんじゃないか?!」


「全く熱無えな」
三度目の電子音を鳴らした体温計を取り上げてフォックスを見下ろすと、
「だから大丈夫だって言っただろ!」
真っ赤な顔したフォックスと目が合った。
「でも顔赤いじゃねえか」
確かに熱は無かったがフォックスの顔はベッドに押し込んだ前より更に赤くなっている気がした。
「そ、それは…ファル、コの……」
だんだん小さくなっていく声に上手く後半が聞き取れない。
「あ?俺?」
「と、鳥…、鳥アレルギーなんだ!!だから、ファルコは近寄らないでくれっ…」
そう言うと同時にフォックスが布団の中に潜り込んだ。
「てめぇ!アレルギーなら布団から今すぐ出て行きやがれ!」
布団をめくると隅の方でシーツに顔を埋めて丸くなっていやがった。
「おい」
「だって…まるでアレルギーだ…、ファルコと居るだけで、心臓がドキドキ言って、息苦しくなって、身体がムズ痒くて…今みたいに顔が真っ赤になるんだ…」
それはアレルギーなんかじゃねえ。
もしそれがアレルギーだと言ってしまうのなら
「俺も…、狐アレルギーかも知らねえな」
俺も全く同じ症状をフォックスに持っていることになるぜ。

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あきゅろす。
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