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廻る星姫 ―スター・プリンセス―
夕ご飯

 『えっと、これからここに私一人で住むの・・・?』


私がつぶやいた言葉はきっと間違ってはいない・・・はず・・・。


『広すぎ・・・。』


呆然としている私の傍らでは国光君が食器と書かれたダンボールを開けて、食器類を棚にしまっていた。


「はぁ・・・、星奈。

 お前は俺だけに片づけをさせるつもりか?」


『えっ? っあ!! ごめんなさい! 今からやるから!!』





それからは、無言で作業を進め、終わるころにはすっかり暗くなっていた。


『やっと終わったぁ〜。 けど、暗くなっちゃったね。』


「そうだな。」


『え〜と、国光君!
 えと、あの、よかったらなんだけど・・・。』


「なんだ?」


『よかったら、ウチで夕ご飯食べていきませんか!?』


私はきっと、リンゴのように真っ赤になっているだろう。


国光君の返事を待つ時間が永遠にも感じられた。


『(断られなければいいな・・・。)』


「ふっ、そういうことならいただいていこう。」


『う、うんっ!! (やったっ!!)

 じゃあ、国光君、何か食べたいものある?』


「いや、星奈にまかせる。」


『わかった!
 じゃあ、リビングで待っててもらっていい?』


国光君はああ、と返事をしてリビングへ、私はエプロンをしてキッチンへ行く。


『(今は、6時半前か・・・。
 簡単にパスタでいいかな?
 でも、国光君って和食が好きなんだっけ?)』


メニューを考えていると、先程の言葉を思い出す。


『(星奈にまかせる・・・か。)

 えへへ、がんばろっ!』


結局、時間の関係上、きのことアサリを使った和風パスタにすることにした。


『(スープは・・・、あ、わかめスープにしよう!!)』



手塚said

 7時を少し過ぎるころには、良い匂いが漂ってきていた。


俺が読んでいた本にしおりを挟んで閉じたとき、ちょうど星奈の呼ぶ声がしてリビングを出た。


テーブルの上には美味しそうなパスタとワカメスープ、サラダがあった。


『簡単なものでごめんね?』


「いや、十分だ。 こちらこそ、すまないな。

 夕飯までいただいくことになった。」


『やだ、今日は私がお世話になったんだから・・・。

 これは、今日のお礼なんだから、そんなこと言わないで!』


「ふっ、わかった。 ん、美味い。」


『わぁ、口に合ってよかった!

 国光君って確か、和食が好きって言ってたから、心配だったの!』


よかったと安心する星奈に愛おしさがこみ上げた。


主人公said

その後、談笑しながら夕食を食べ終わった。




そして、国光君とまた明日、と言って別れた。


『また、明日・・・かぁ。


 ふふっ、明日は国光君とテニスする約束したし、


 夕ご飯は国光君の家でいただくことになっているし・・・。


 明日は楽しみがいっぱいだなぁ・・・。』


幸せな気持ちのまま、布団にもぐりこむ。


そして、数分後、規則的な呼吸音が響いたのだった。



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あきゅろす。
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