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廻る星姫 ―スター・プリンセス―
手塚side
 俺は、母から渡されたばかりの手紙を手に取った。


それは、幼いころに何回か俺の家に預けられていた、アメリカにいるであろう少女からのものだ。


十数年経った今でも、文通している。


滅多に笑わないと言われる俺が、手紙を見るたびに頬を緩ませるくらいには心躍る。



 
 

 それと同時にあのときのことも思い出す。


中学に上がるころに、初めて彼女から電話が来た。


『国光君に隠し事はしたくないから・・・。』
と今にも泣きそうな声で・・・。


彼女から聞いた内容は壮絶なものだった。



前世で友人を庇って代わりに死んだ・・・?


未来が視える・・・?


何も言わない俺に彼女は、


『やっぱり、気持ち悪いよね・・・?

 お母さんたちだって、私が殺したようなものだし・・・。』


と小さな声でつぶやいた・・・。


・・・は?
今、こいつは何て言った・・・?

お母さんたちは自分が殺した、だと?

ちがう・・・、あれは事故だったはずだ。

なら、どうして・・・?


そんな俺の疑問を感じてか、彼女は自嘲するような震えた、声で言った。


『だって、おかしいでしょ?

 未来が視えるのに、どうしてお母さんたちを止めなかったのかって・・・、飛行機にっ、のらないようにできただろうって・・・。』


 
そういうことか・・・。

 彼女、星奈なら、実の親を見殺しにするほど冷酷ではないことぐらい俺でも知っている。

 きっと、何らかの事情で星詠みとやらが見えなかったのだろう。

俺は、思わずため息を吐いた。星奈が息を詰めたのがわかった。


また、こいつは勘違いをしているな・・・?


「おい、勘違いするなよ?

 星奈のアホさにため息を吐いたんだ。」


『・・・え?』



「俺は、星奈が殺したなんて思ってない。
 

 星奈のことだ、何かの事情で星詠みとやらが見えなかったのだろう?


 お前のせいじゃない。あれは事故だった。」


途中から星奈が泣いているのに気づいていたが続けた。


「だから、もう、自分を責めるのはやめろ。」


『ぅん、うんっ、ぅっ、国光君、ぁりがとぉ。』



 その後、星奈は泣き続けた。


ありがとう"と言いながら・・・。





 そんなこともあったなと手紙を開くと、中には一枚の写真と簡潔に書かれた馴染み深い字が。


 写真には美しく成長した星奈が笑っていて、手紙には
お元気ですか?"といういつもの挨拶からはじまり、最近のことなどが書かれていた。




―――最後に、流さんからやっとお許しが出て、○日には国光君と同じ学校に通うことになったの!


「・・・は?」


俺にしては間抜けな声が出たと思う。


何度も読み返すが内容は変わらない。


「(まぁ、当たり前なのだが・・・。)」




俺はこのことを家族に知らせるために部屋を出た。


きっと、母さんを筆頭に喜ぶだろう。


思わずため息が出たが、口元は弧を描いていた。





―――再会のときは近い・・・。


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