◇光る風 A 「……知らない。」 「えぇーーー!!!???」 そんな驚かれても…。 本当に俺もなんで俺なのか、分からないし。 母さんから、一輝さんから電話があったって聞いたのは、昨日の夕方だった。 「あっもしもし一輝さん?竜太です。すいませんっ電話くれたみたいで」 「あー竜太。いや、俺が突然かけたんだから、謝る必要はないよ?ごめんね急に。」 「いえ…//」 一輝さんっていうのは、桜木一輝(さくらぎかずき)さん。 兄弟のいない俺にとって、小さい頃から兄貴のような存在だ。 俺が一番尊敬している人。 「それで…なにかあったんすか?」 「あぁ。ちょっと竜太に頼みたいことあってね」 「……?」 なんだろう? 一輝さんが頼みごとなんてめずらしいと俺は思った。 「あのねぇ。竜太、明日から夏休みだろ?」 「はい。」 「それでさ、夏休み中、ちょっと俺の親戚の子と一緒に遊んでほしいんだ。」 「え?小さい子ですか?」 「あっ違うよ。彼は君と同い年。今日の晩にこっちにくるんだ。少し休養しにね。」 へー…。 「あ…んで休養といえど、暇だから、同い年の俺がときどき遊びにってことですか?」 [*前へ][次へ#] |