[紅い月] + 俺はその日の夜も夢をみたー… 「お前にはわかってもらわねば。」 「…。」 紅葉がとても綺麗だ。 美しい庭の見える、広い家。 家というより、今でいうどこかの美しいお寺のような。 俺…?というか男は何故かは知らないが、静かに泣いている。 哀しくて。 苦しくて。 憎くて。 鳥になりたいと思った。 自由に羽ばたくことができない立場なのだろうか。 男はずっと座って庭を眺めることしか出来ていなかったように思う。 父と名乗った老いた男は言った。 「お前は鳥ではない。ましてや風でもなく川でもなく、ただの欲深い…人だ。」 「…嫌な目覚めだ。」 体をおこす。 ガチャ 「あら。春起きてたの?珍しい。ご飯できてるわよ?」 「…わかった。」 ただの欲深い人… それを聞いた俺は何て言ったんだ? 運命は確実に進みはじめていた。 [←] [戻る] |