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短編
烏の呟き(佐政)
※佐助がなぜか伊達さん家に居る。
※² 深い事は考えずに書いてしまった((笑
※³ 管理人にもよく分からない((爆


「例えば、俺と旦那が違う出会い方をしてたらどうだろう。」
「Ah?」


いつもの如く現れた忍びに、これまたいつもの如く動じない城主が怪訝な顔をする。
着物の袖を襷で捲し上げ、右手に菜箸を持っているので、
何かを作っているということは分かる。
この城に頻繁に通うようになってから分かったのだが、竜はどうやら厨房に自ら立つのが好きらしい。今までに自分が振る舞われた料理は、どれも甲乙付け難い物だったと
記憶している。

「―――――で、違う出会いってのは何なんだ?」
「ん―――、もし俺が忍びじゃなくて農民として旦那とあってたら…とか?」

俺が話している間にも料理はどんどん完成していく。
…どうやら今日のオヤツは豆大福らしい。

「おまえが農民で、俺が奥州筆頭じゃなくて…か。」
「そうそう。そうだとしたら、どうなってたかなぁ〜、と思って。」
「…もし、なんか考えるたぁ忍びらしくねぇな。」
「俺様だってね、暇になればそれくらい考えちゃったりもするんですよ。」

ああそうかい、と言って旦那はまた手を動かし始めてしまった。
そう、何も考える必要など無い事を考えてしまうほど自分は暇なのだ。

「忍びじゃないとしたら、俺何してる人かな」
「助平人」
旦那の方を見ると、餡子を舐めながらクツクツ笑っていた。
「まぁ、確かに想像しても仕方の無い事だけどさ」
「ああ」
「忍びを辞めたい訳じゃ無いし、今の現状もそれなりに満足してるし」
「それなりって、どのあたりに満足してねぇんだよ」
「――――片倉さんとか…」
「・・・」

少し旦那は止まってしまったが、また直ぐに大福作りに動き出した。
…片倉さんに不満がある訳では本当は無い。
ただ、少し忍び使いが荒くて旦那の事となると周りが見えなくなるだけ。
片倉さんの事を思い出したら、こんな所で休んでいられない様な気がして
立ち上がろうとすると、旦那が思い出したように続けた。

「佐助。」
「何ですか?」
「もうすぐ大福が出来上がるから、城に居る黒脛巾組の奴ら集めといてくれ」
「はいはい。まったく…忍びにあんまり良い物食べさせないでくださいよ。」
「いいじゃねぇか。たましかないんだから」

味覚えちゃうんだよ…と呟いて佐助は姿を消した。
優しい竜のまかないを部下に食べさせるために佐助は城中を駆け回る事になる。


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