please kiss me ダス雷


 

 それは甘く、薄桃色をした。




「ソリダス、今日ぼーっとしてないか?」
「……そういう気分なんだ」


 何故こんな感情を抱いてしまったのか解らない。
 この歳にもなって、まるで子供の様な。
 
 何気ない日常の中で、生まれた感情。
 初めは軽い錯覚、けれどだんだんと強くなる。
 
 心の中を占め、思考を乗っ取り、私を焦がす。


「ぼーっとして、俺の顔を眺めたい気分なのか?」


 言えないのはつまらないプライドの所為。
 格好をつけたがる些末な自尊心。
 歳を重ねて積み重ねた薄っぺらな壁。

 それらを取り払えない私の弱さ。


「やっぱり変だ」
「……調子が悪いのかもしれない。放っておけば治るさ」


「シたいなら言えば良いのに」


 心を見透かした様な彼の言葉に、ぎくりとする。
 弁解しようと開いた口を、彼のそれが塞ぐ。

 甘い一瞬から離れた後、彼は悪戯っぽく笑った。




「キスして欲しいって、顔に書いてあったぞ」




――――

恥じらうおっさんをイケ面が弄ぶの巻。
ダスはソリとかリキより落ち着いてるイメージがある。
そういう人が慌てたりすると可愛いよねって話。

080326


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