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可愛いね
「俺じゃ無ぇよ。」
 形の良い頭を、ゆっくり撫でている時である。
「俺じゃ無ぇ。」
 もう一度、確かめるように呟いた。
「違ぇよ。」
さっきまで、あんなに嬉しそうに幸せそうに、はにかんだり歯を見せて笑ったり夢中で二人、互いを貪りあったのに。みるみる陰っていく表情を、手を休めることなくただ見つめる。
「アンタの手、こんなにするのは俺じゃ無ぇ。」
「じゃあ誰なんだよ。」
 間髪入れずに問うてみる。分かっているのだ、総悟の言わんとしていることは。総悟は男だ。蒲団に投げ出された手の甲には、数本の血管が浮き出ている。骨っぽいし、筋肉質。腕に円みなどは微塵も無い。顔つきだって充分にそうだし、男の色気がそれはかとなく匂う。
 俺の腕をこんな、というのは、女にするように、という意味だ。総悟とこうするようになってからは、これ以上ないくらい気をつけた。総悟を女の代わりだとは思ってない。でも、そうは思ってほしくはないから。女役をやっている以上、連想するであろう女との行為。一度、「慣れてやすね。」と声色は明るく、でもあからさまに嫌そうな暗い顔で言われたことがある。いつもは見ない顔こそ、その人を物語るのだ。
「見たくねぇんだよ、アンタの、女のあしらいなんか。」
 さっきまでの悲しげな顔はどこへやら、だんだんと頬っぺたが膨らんでくる。今、総悟の中では沸々と様々なものが沸き上がってきているに違いない。目付きも鋭くなる。ツンツンモードの総悟を宥めすかしてさっき蒲団に入ったというのに。
「じゃあ俺は今なにをしてるんだよ。遊女抱いて、朝帰りしようと思ってるんじゃ無ぇだろ?文句ばっかりの嫉妬深ぇガキに腕回してんだろって、バカ野郎。」
頭に置いてあった手を頬に移し優しく撫でる。総悟は右手でそれを掴み、伏し目がちに寄せ唇を音もなく押しあてる。はぁ、と盛大に吐いた溜め息に、総悟はニヤニヤ可笑しそうに見つめてくる。




嫉妬総悟が大好物だおっおっ⊂Ξ( ^ω^)Ξ⊃

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