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まりおねっと・すとーりぃず
楽天少女

暗くした部屋に私はいた。
ご飯も食べれない程、
私は絶望していた。
学校に、行けない。
行きたくない。
あんな下等な奴らの
言葉なんてもう聞きたくない。
本当に、酷い。
でも…。でも、と私は思った。
思うのも苦しかったが、
全て私が悪いのかもしれない。
あんな事を言われるのなら
私にはそれだけの理由が
ある筈なのだ。
…が、その理由が
全く見当がつかない。
なぜなのか。どうしてなのか。
何も解らない。
もっとも…私が存在する
理由もあったものだったろうか。
その時、腕の中から
囁く声が聞こえる。

『悩むのは良くないよ』

私ははっとして
腕で包み込んでいた
片目の猫の縫いぐるみを
持ち上げた。

『悩むのは良くないよ』

そうだよね、と私は呟いた。

『悩むくらいなら忘れてしまえ
何もかも、忘れてしまえ』

ありがたい言葉だった。
私は学校に行く準備を始めた。





私は学校を出た。
昼ではないが、
日差しがやたら眩しい。
やっぱり無理だ。
靴箱には小動物の
変死体が溢れる程
詰められていた。
開けた途端、私は学校に
来た事を後悔した。
なんて惨い。
腐臭を放つハムスターの
頭が落ちて、
足下に潰れるように
着地した。
何の内臓かも判らない
赤黒いごたごたには
大量の蝿がたかっている。
猫は綺麗に真っ二つに
なっていて、左半身が無かった。
私の上履きの下には
虫や牛蛙の死骸が
敷き詰められている事に
気付いた。
もう、充分だ。
私は靴箱を開けたまま、
学校を飛び出す。
潰れたハムスターの目が
私を睨んでくる。
猫の左半身がどこからか
出てきて私を追ってくるんじゃ
ないかと怖くて堪らない。
家が見えた。
焦る思いで鍵を開けて
玄関飛び込み、
一息に部屋まで走った。
肩で息をし、ベッドに倒れ込む。
片目の猫を抱き寄せ私は泣いた。
靴箱の中身が脳裏に焼き付いて
離れる事は無く、
恐怖で震えが止まらない。
忘れてしまいたい。
いっそ死んでしまいたい。

『悩むくらいなら忘れてしまえ』

うんそうだよね、と
私は呟く。
私は、学校を辞めようと思った。





私は働いていた。
高卒認定試験も無事にクリアし、
どうにか悪くない方向に
向かっていた筈だった。
嫌がらせが止む気配はない。
私は毎晩泣いていた。
その度、片目の猫が
私に同じ言葉を囁き続け、
私は立ち直り続けた。
私は今日も職場の
自分の机に向かった。
鉛筆を出そうと
引き出しを開けると
死ねの二文字が真っ先に
見つかった。
私は溜め息をつき、
それを捨ててから鉛筆を
取り出した。
ペン立てにはゴミが
詰められて、
作り上げた書類は、
少し目を離せば
シュレッダーにかけられていて、
鉛筆はしょっちゅう折られ、
靴に虫や針を入れられ、
コーヒーには砂糖とミルク以外の
あらゆる調味料が入れられ、
そして全て見て見ぬふりを
されていた。
最近、死ねという言葉を
あちこちで見かける。
私はもはや受け入れていた。

『悩むのは良くないよ』
うん、解ってる。
ありがとう、と私は呟いた。





コーヒーを入れようと
席を立った時だった。
突然、残業するように
言い渡されて既に夜だった。
私以外は誰もいない。
…が、私は倒された。
何かが私に乗っている事に
気付き、私はもがく。
スカートに手をかけられた時、
私はこれから何をされるか
気付いて暴れた。
…そして相手は一人ではない事に
気付き絶望する。
後はなすがままだった。
男共に犯されてる間中、
私は今までに無いほどの
空虚で満たされていた。
声すら出ない。
わたしの手を抑え、脚を広げ
代わる代わる挿入して
いく男共を前に
私はただ天井を見つめていた。
男共は気が済むと
そそくさと逃げていく。
私は全裸で床に転がされた
ままだった。
精液が溢れて中から
流れ出ていた。
こんなにされたら
妊娠するに違いない、
と私は微かに思った。
服を回収して身に着ける。
飛び散った奴らの精液の後始末を
私がする。





『悩むのは良くないよ』
私は、そうだよね、と呟いた。
だから、悩まないように
私は死ぬよ、と

『悩むくらいなら忘れてしまえ』

うん、と私は生まれて初めて
明るい声で呟いた。

「悩むくらいなら私は死ぬね」

睡眠薬を持って、
私は海に車で向かう。
片目の猫も一緒に。
海までが遠かった。
今、私の腹の下で
奴らの穢れた遺伝子を持つ
細胞の分裂が始まってるの
だろうかと思うと
今すぐ死にたくなった。
やっと海が見えた。
やたらと月が明るい。
車から降りて、
瓶の中身を大量に口に含み
ペットボトルの水で
流し込む。
空になった瓶を足下に置くと、
私は海に服を着たまま
入っていった。
猫をしっかりと抱いて、
服の重みに苦戦しながらも
私は片目の猫を抱いて
沖に向けて泳ぎ出す。
10分程で感覚が失われていく。
体が、沈む。
口に海水が入ってきた。
もう、死ねるだろう。
その時、猫が語りかけてきた。

『悩むのは良くないよ』

「あれは全て、嫉妬だよ」

深い海の闇の中、
私は命を失った。


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