黒の誓い
1
「おい、ヴィー!離せっ」
部屋に連れ込まれレオニクスは手を引っ張った。
だがヴァルディスの力は弱まらない。逆に強くなったそれにレオニクスは痛みに顔をゆがめた。
「何怒ってるんだよ」
「何、だと?」
「うわっ」
ぼすんっと放り投げられたのはベッドの上。
いつかは抱く………。
まさか、ヴァルディスは。
レオニクスはハッと青ざめ素早く身体を反転させた。
しかしすかさずヴァルディスに押さえ込まれ、連れ戻される。
「お前に何度言っても分からないなら身体に分からせてやる」
「やめっ、ヴィー、やめろ、離せっ!」
レオニクスの抵抗をたやすく捩伏せ、召喚剣士服を引き裂く。
数分とかからず白い肌がヴァルディスに晒された。
「いやだっ、ヴィー、やめろ!お前ならいくらでも女寄ってくるだろ!」
それでもレオニクスは暴れた。
抱かれたくない。
性欲処理に使われるのも、怒りをぶつけられるのも嫌だ。
ヴァルディスはレオニクスの手を掴むと後ろ手に己の髪紐で拘束してしまった。
自由を奪われ、レオニクスは怯えた眼差しでヴァルディスを見上げる。
「どうして…」
「お前が分かっていないからだ」
ヴァルディスの目は凍り付いていた。
容赦なくレオニクスの唇を奪う。
嫌々と振る頭をがっちりと押さえ込み、咥内へ侵入を試みる。
食いしばるレオニクスの鼻を摘み、無理矢理押し入った。
「んー!ふっ…んっ」
咥内で暴れ回るヴァルディスの舌。
噛み付こうとすれば上あごを擽られ、お仕置きのように舌を甘噛みされる。
キスの間にもヴァルディスの手は身体をはい回り、レオニクスの弱い場所を探していく。
「んふっ…んっあっ」
ヴァルディスが唇を放したころにはレオニクスの息はあがっていた。
キッとヴァルディスを睨み、身をよじってその手から逃れる。
「言えヴィー!何でこんなことをっ、何を怒ってる」
「お前は俺の物だと言っただろう!」
怒声が響き、レオニクスは硬直した。
怒っても怒鳴るなんてしないヴァルディスに怒鳴られ、思考が停止する。
「お前がいなければこんな世界、とっくに潰している。何故しないのかお前は分かっていない」
再びヴァルディスが覆いかぶさった。
首筋に顔を埋められぬるり、と舐められてハッと我に帰る。
「んっ、いゃっ」
ヴァルディスの手袋越しの愛撫は冷たくツルツルとしていて違和感が酷かった。
胸の尖りに指をかけられ弄られてゾクッとしたものが這い昇る。
「身体に刻み付けたのにまだ足りぬのか」
ヴァルディスの左手が契約書の刻まれたレオニクスの右腕に触れた。
忌ま忌ましそうな呟きを落とし、レオニクスのスラックスをくつろげる。
「なっ、やめっ…っあ」
誰にも触らせたことのない部分を遠慮なく掴まれ軽く扱かれてレオニクスは息を詰めた。
強めに扱かれ、もみしだかれれば簡単にそれは起ち上がり、強烈な刺激をレオニクスに与える。
「…っ!」
「お前……まさか女抱いた事もないのか」
驚きまじりのヴァルディスの声にレオニクスはカッと顔を赤らめた。
答えはそれで如実で。
「ふっ…そうか」
どこか満足そうに笑ったヴァルディスは扱く手を優しいものに変え、レオニクスの耳に息を吹き込んだ。
「俺に委ねろ…気持ち良くしてやろう」
低い、バスバリトンが耳から響き、レオニクスの力を抜かせる。
怒りは見え隠れするものの、重なった身体は服越しでも熱い。
「手、…外せよ…」
せめて触れるなら素手で。
ヴァルディスはしばらく考え、手袋を外した。
滅多に日に触れない手は抜けるように白い。
黒竜のくせに、と少し可笑しくなった。
長い指はこんなところまで完璧な造形をしているのかと思わせるほど男らしいのに繊細だった。
「何を笑っている」
その指がレオニクスの身体を辿る。
鍛えられた腹筋をなぞり、胸の尖りを撫で、口をわって舌を摘む。
「んっ」
「抵抗は終わりか」
レオニクスはゆるゆると首をふった。
「嫌、だが、放してくれ、ないから」
「お前は…」
ヴァルディスは言いかけて黙ってしまった。
再びレオニクスから快楽を引きずり出すべく愛撫していく。
「っつ!んっ」
濡れて温かい舌に乳首を転がされるうちに柔らかかったそれはコリコリと小粒になってしまった。
ジンジンと疼き出すそれに戸惑うレオニクスを余所にヴァルディスは激しく扱いた。
「ぁあっ!…やっ、あっ」
遠慮も容赦もないそれに引きずられていく。
嫌だ。嫌だ。
レオニクスは頭を必死に振る。
唇を噛み締めてもすかさずヴァルディスにこじあけられてしまった。
「声を聞かせろ。おさえるな」
「くっ…あっ、い、やっだ」
イきたい。イきたくない。
ぐりっと鈴口を引っ掻かれて持って行かれそうになれば根元を握られて果てるのは叶わない。
「やだあっ」
手を縛られているせいで痛みに快楽に溺れることも出来ない。
もどかしい苦しみにレオニクスの眦から涙が落ちた。
「ちょっと弄ってやっただけでこんなに濡らして…お前ははしたない子だったのか」
見せ付けるように先走りに濡れた手で乳首をつねる。
レオニクスはびくっと身体を揺らした。
「乳首が感じるのかいやらしい男だ」
低く濡れた声に耳から犯されていく。
もう、もう、駄目だ。
「…イきたいか?」
レオニクスは頷いた。
イきたい。
はやく何とかしてほしい。
イけば終わりなのだろう。
「ふっ、最初だからな。我が儘も聞いてやろう」
ヴァルディスは一気に擦り上げた。
「ひ、やぁああああー!」
高く鳴いて達したレオニクスは白濁に濡れた腹も気にせず布団に顔を埋めた。
ぼぅっとして考えられない。
ああ、でも終わったのだ。
しかしそんな安堵はヴァルディスに奥のすぼまりを触られて霧散した。
「ヴィー…?」
「知らなかったのか。お前はココで俺を受け入れ、俺の物になる。泣き叫んでも、たっぷりと犯してやろう」
だから、泣くなら鳴け。
そういってヴァルディスは微笑みでレオニクスを絶望に突き落とした。
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