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cinderella
女に涙は似合わない





threeの最終話のあの後、三蔵が土方の家に愛銃を持って上がり込み、土方は撃ち殺されかけた。

幸い、必死の土方の状況説明により死ぬ事はなかった。

しかし八戒は自分の為にここまで三蔵がムキになってくれるが相当嬉しくて三蔵にメロメロで、土方を助けようとしなかった…とか。




土方「(あの時の三蔵の目は本気だったけど、銃の持つ所がマヨネーズ型だったな…。あれは空気ぶち壊しだよな)」




何の罪もない土方に銃を向けた事に罪悪感を抱いた三蔵は土方を『執事』として迎えた。

勿論、他の執事同様で住み込みだ。

マヨ専門店自体は八戒の家の隅っこで営業する事になった。
しかも店と部屋が行き来出来るように改装してくれたらしい。




土方「(まだ実物を見たわけじゃねぇけどな)」

八戒「あ、土方さーーん!!」




荷物は先に送ってある為、手ぶらで八戒の家に向かっていた。

すると、玄関先で土方に向かって明るく嬉しそうな声でぶんぶんと左右に手を振っている八戒と、ムスッとしたように見える三蔵がいた。




土方「…おぅ」

八戒「土方さん!おはようございます!」

三蔵「……もう昼過ぎてるぞ」

八戒「…三蔵、細かいです」

土方「今日から世話になる。宜しく」

八戒「そんなに改めなくてもいいですよ!僕と土方の仲じゃないですか!」




もうやだ〜!と土方の背中をバシッと叩く八戒の言葉に深い意味はないだろうが、土方に三蔵の鋭い目が刺さって痛くて空気が重い。

三蔵を敵に絶対に回したくねぇと思う土方は、初日で敵に回したと感じた。




八戒「今日はですね!土方さんの為にご馳走を用意したんですよ〜。さぁ早くリビングに行きましょう!こっちです!」




そう言った瞬間、土方の腕を掴んで歩き出す八戒。

その様子を後ろから見る三蔵の視線が更に痛い。
まるで背中に複数の針が刺さったみたいに。




土方「(…俺…明日を迎えれるだろうか…)」




@自分の命の為に八戒の手を引き払ってリビングに向かう
Aこのままリビングに向かう
→どちらかを選択しなければならない。

まず、@を選択したとしよう。
土方の命に関わっているなど知らない八戒は冷たくされてたと勘違して泣く。
八戒を泣かせた土方は悪者になり三蔵に撃たれる。

次に、Aを選択したとしても既に三蔵を敵に回しているのだから、明日には撃たれて死んでる。




土方「(………命ねぇよ…どっちも)」




確かにどちちか一つを選択したとしても命の保証はない。

どうせ死ぬなら明日死んだ方がいいと考えた土方は、Aを選択した。


結果、自己解決☆





――――――――
―――――



そうこうしている内に、八戒に案内されてリビングを開けると―……




政宗「What!?真田幸村…それは俺のだ!!」

幸村「ふん!取ったもん勝ちでござる!…と佐助が言ってた」

政宗「…糞…あの猿!!」




土方の為に用意したご馳走を政宗と幸村が先に取り合いになりながらも食べていた。

テーブルを見ると既に半分は無くなっていて、メインである最高級のステーキはカケラもない。

しかし凄まじい食欲。




幸村「あ!八戒殿!」

政宗「Sorry!先に食ってるぜ」




八戒と三蔵と土方に気付いて声をかける幸村と政宗だが、動く手は止めない。

どんどん口の中に入っていく。




八戒「…っ…」

土方「え?八戒!?」




ふと隣にいる八戒を見ると、涙が頬を伝ってポタッと床に落ちた。

どうして泣いているのか分からない土方が慌てていると、土方の後ろから三蔵の声がした。




三蔵「…おい…何泣かしてんだ?」

土方「(俺のせい!?)」




三蔵がゴソゴソと服から愛銃を取り出した時、土方の方ではなく幸村と政宗の方に向けた。




土方「(…え…?)」




てっきり自分に向けてくるかと思った土方は驚きを隠せなく、状況を理解出来ていない。




銀時「待った三蔵」

三蔵「……銀時、邪魔するな」

銀時「邪魔する気はねぇよ三蔵。俺も腹立ってる。その料理は八戒がそこに立ってるニコチン野郎の為に朝早くから作ったんだ。それを勝手に食ったとなると…お前らでも言ってる意味分かるよな?」




土方が一人理解出来ていないまま、突然銀時が刀を片手に入って来た。
銀時も三蔵同様に刀を幸村と政宗に向けた。

どうやら八戒の手料理を政宗と幸村が食べた事にご立腹らしい。

きっと三蔵も同様だ。




八戒「…三蔵…銀さん…」

土方「八戒、とりあえず顔拭けよほらっ」




銀時と三蔵が自分の為に幸村と政宗を怒ってくれてると感じた八戒の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。

そっと土方のズボンのポケットからハンカチを出して八戒に渡し、八戒はそのハンカチで涙と鼻水を拭いた。




三蔵「…土方、八戒を連れて部屋に戻れ」

土方「…分かった」




初めて名前を呼ばれたて驚いた。

勿論断る必要などない土方は、八戒の手首を掴みその場から去る。

八戒の手首を掴んだ時、一瞬三蔵からの視線が物凄く痛かったのでリビングから出た時に離した。




八戒「え…でも…三蔵と銀さんは…?」

土方「気にするな。…それより八戒の部屋は何処だ?」

八戒「あっちです!この家広いので時々迷子になっちゃうんですよ〜」




あははと笑いながら指を差した方向に歩き出す八戒の後を土方は着いて歩く。




土方「…八戒」

八戒「何ですか?」

土方「……その…今日手料理食べれなかったが、また作ってくれるか?」

八戒「土方さん…!勿論です!!」




そう言った八戒はさっきまで泣いて悲しそうな顔ではなく、心の底から嬉しそうな笑顔だ。




土方「(…やっぱり女は笑ってた方がいいな)」




涙を流して悲しい顔は女に似合わない。

それは土方だけではなく、三蔵も銀時も分かっている。

その後、政宗と幸村の姿を見る者は2週間いなかった。






to be continued ....





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