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cinderella
大きくて優しい手




こんにちは、皆さん。

初めまして、僕はお館様のもふもふに住んでいる子犬です。

そして、僕がお館様のもふもふに住んで一週間経ちます。

このお城の皆さんはとても優しいです。
ただ…この僕を丸焼きにして食べようとしていた人物が一人います。




銀時「おっ、マーヨじゃねぇか」




噂をすれば現れました。

そうです、この男こそが僕を丸焼きにして食べようとしていた銀髪の天パで死んだ魚の目をしている総長です。
その時はお館様に助けて頂きましたが!

総長と全く違って、お館様は凄く強くて優しくて…眩しい人です。
あの大きくて優しい手で頭を撫でてくれるのが、一番幸せであり…大好きです。




銀時「何だ何だお前…、まーだ丸焼きにして食べようとした事怒ってんのか?」




僕は総長を無視していましたが、そんなのお構いなしに話しかけてきます。

そして、喋りながら総長の手が伸びて来て、逃げようと前足を動かしたらひょいと簡単に抱きかかえられてしまいました。

……一歩遅かったみたいです。




銀時「もう食べたりしねぇって。だから機嫌直せよ」




僕の頭を撫でながら言う総長。

…どうせなら…お館様の大きくて優しい手の方が良かった。




幸村「あーー!!総長殿ォオオオ!!またマーヨ殿を食する気でござるかァアアア!?」




正面から全力疾走でこちらに向かって来て、僕と総長の目の前で足を止めた幸村さん。

……赤い鉢巻きが一瞬僕の目に入って痛いです。

というか、“また”ではないです。
…食べられてませんから。




銀時「いやいや違うから、食べようと思ってねぇよ。…つーか何回も廊下を走るなって言ったよな?また午後3時のおやつを抜きにされたいわけ?」

幸村「も…申し訳ございませぬ!!」




本当におやつに弱い幸村さん。

凄く良い人なのですが、熱血し過ぎて逆に引く所があるんです。
おまけに単純な性格のせいか良く総長にからかわれたり嘘を吹き込まれてその嘘を信じているらしいです。

…何回も痛い目に合ってるのに、学習しない幸村さん。
その度にお館様に怒られて…いや殴り合っています。




銀時「ホントに分かってんのか?今度やったらマジで1ヶ月間午後3時のおやつ抜きだからね」

幸村「!しょ…承知した!!」




…そんなにおやつが大事なんでしょうか。




信玄「!…マーヨ!!」




すると、大好きなお館様が僕の名前を呼びながらこちらに向かって来ました。

直ぐに、総長の腕から飛び下りて僕は…お館様に飛びつきました。




信玄「おっ…と…」




いきなり僕が飛びついたものだから、お館様はちょっと後退りをしました。

お詫びの印に、お館様の頬をすりすりしました。




信玄「!くすぐったいわぃ…!」

銀時「……やっぱり信玄ちゃんを主人と思ってるから、他の奴には懐かないか〜」




当たり前です総長。
少なくとも子犬を丸焼きにして食べようとした人よりマシです!!




信玄「いつ触ってもマーヨの毛は…ふわふわじゃのぅ!」




そう言って、僕の大好きな大きくて温かい手でお館様が頭を撫でてくれます。

ふわふわなら、お館様の兜のふわふわの方が僕は好きです。




信玄「おぉ、そうじゃったわぃ!マーヨに首輪をあげようと思ってたな」




武田の家紋入りで僕の名前が入った赤い首輪をポケットから取り出し、僕の首に付けてくれたお館様。




信玄「そうか、そんなに気に入ってくれたか?良かったわぃ!」

銀時「…俺のおかげでもあるんだからね。俺が知り合いに頼んで作らせたもんだから!俺にも感謝して!」




…総長はただサボっている訳ではないって事くらい知ってます。
人間観察をするのが僕の一日の日課なので。

それよりお館様が僕の為に、首輪を作ってくれた事に凄く嬉しいです!

首輪がなくても僕は一生お館様から離れません!





大きくて優しい手
(僕はその手が大好きなんです)





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