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cinderella
普段やる気ない人には注意せよ





銀時「ゆぅぅうきぃいいむぅらぁあああ!!」




長い廊下に幸村と信玄に負けないくらいの銀時の大声が響く。

ここまで銀時が大声を出すのは珍しく、相当…御立腹のようだ。




銀時「出て来いや、真田幸村ァアアア!!」




眉間に紫波を寄せて、廊下を走りながら再び叫ぶ。




三蔵「!…おい、銀…」




廊下を歩いていた三蔵。

偶然銀時を見かけて先程の大声は何事か聞こうと、銀時に声をかけたが…虚しくも無視されて行ってしまった。

どうやら、銀時は幸村を探しに集中しているのか周りが見えてないらしい。




三蔵「……」




三蔵は、たいしたことないはないだろうと思い自分の部屋に戻って行く。


一方、7m先に居る幸村を見つけた銀時は…速度を落とし急に足を止める。




銀時「…見つけたぜ…真田幸村くーん」




そしてゆっくりと足を動かし、一歩ずつ幸村に近づいて行く。




幸村「!?」




いつもより低い銀時の声に、幸村は肩をビクッと震わせてゆっくりと後ろを振り返る。




幸村「そ…総長…殿…、何でござ……っ!?」




振り返った幸村の目の前には、刀の刃があり、殺気に近い気を感じて最後まで言葉が出ない。

あと数pで幸村の目に刺さる至近距離。




銀時「どうしたかって?…自分が何したか分かんねぇのか?」




普段の銀時から予想もつかない程、今の銀時は恐ろしい。




幸村「……っ…」




幸村の額から顎にかけて、一滴の汗が流れる。



銀時「………何お前…ホントに分かんねぇのか?」

幸「…分か…りま…せぬ」




ゆっくりと口を動かす幸村。




銀時「おいおい、ふざけてんのかテメェー…」

幸村「ふっふざけておりませぬ!!」

銀時「じゃ、自分が何をやったか言ってみろ。じゃねぇと……」




斬るぞ、と言った後の目は本気そのもの。




幸村「………」




全く覚えがなくただ黙っていると、幸村の左側からいきなりクナイが銀時を狙って向かって来る。

銀時はクナイに気付き、持っている刀で弾き返し、クナイを投げた本人の手元に返る。




佐助「……流石、坂田の旦那…」




クナイを投げたのは、どうやら佐助。




銀時「…猿、何の用だ。邪魔すんな」

佐助「いや猿じゃないよ俺様。せめて“飛”の漢字も付けて欲しい!」

銀時「………」

佐助「つーか、何物騒な物を出してんの?」




クナイを手でクルクルと回しながら、銀時と幸村に近付く佐助。




銀時「猿に関係ねぇだろ」

佐助「だーから猿じゃないってば!…真田の旦那が何かしたの?坂田の旦那がそんなにキレてんの珍しいからさー。俺様は初めて見たけど!」




銀時はベラベラと喋る佐助に視線を向ける。

その時に、幸村が“早く助けろ”と口パクで佐助に訴えている。




銀時「………俺がトイレに言ってる間にチョコパフェを幸村が食ったんだよ。だから怒ってんの、何か文句あるか?」




銀時は視線を幸村に戻し、刀を握っている手に力が入る。

今までの怒りは、“幸村がチョコパフェを黙って食べた”らしい。

確かに誰だって大事なものを簡単に奪われたら怒る。




佐助「……………は?」

幸村「…あっ…!」



その銀時の言葉に、佐助は唖然し、幸村はハッと思い出す。



幸村「(そういえば、さっきパフェを食べたでござる…!)」

佐助「ちょ、坂田の旦那…そんな事で…?」




その言葉を言った瞬間、幸村に向けていた銀時の刀の刃が一瞬にして佐助に向けられる。




銀時「…そんな事…だと?本気で言ってんの?」

佐助「ヒィ…!!」




その隙をついて、幸村が逃げようとした瞬間…




幸村「…わぁっ!?」




銀時が逃げる幸村の足の前に出しを引っ掛けた為、幸村は顔面から転ける。




銀時「幸村くーん、まーだ話は終わってないよ。…逃げんな」

佐助「…俺…様は…関係ない」

幸村「佐助!裏切るのか!?」

佐助「いやいや…まっさかー!俺様が真田の旦那を裏切…」

銀時「ごちゃごちゃ…うるせぇんだよ」




銀時は右手と左手に刀を一本ずつ持ち、幸村と佐助に刀を向ける。




佐助「あれ!?何で二刀流!?…さっき一本しか持ってなかったよね!?何で!?」

幸村「(これが総長殿の真の姿でござったか…)」

銀時「俺ねー、実は二刀流だったんだよ」

佐助「いや今知ったんだけど!?」




絶体絶命の場でも、ツッコミという副業を忘れない佐助。

ここまではいつまで経っても逃げられないと思った幸村は、最後の手段に出る。

その最後の手段とは…




幸村「あ!あんな所にイチゴパフェが!!」



幸村はイチゴパフェなどありもしない方向に指を指す。




銀時「何ぃ!?」




パフェという言葉を聞いて、黙ってはいない銀時は直ぐに反応し、指を指す先を瞬時に向く。

そしてその一瞬の隙に、幸村が反対の方向に全力疾走で走る。




佐助「あ…!真田の旦那、ズルイ!!」





幸村の後を追いかける佐助も全力疾走。

取り残された銀時。




銀時「…くそっ…単純な事にこの俺が引っかかるとはな…」




呆れた様に溜め息をし、目を閉じて一回深く深呼吸をする銀時。




銀時「テメェら、待ちやがれぇええぇえ!!」




二本の刀を持ったまま、佐助と幸村を追いかけ始める。

まだ銀時の怒りは収まっていないようだ。




佐助「ちょ、ヤバイよ!坂田の旦那が追いかけて来た!」

幸村「うわ!?佐助何とかしろ!!」

佐助「何で!?元とはいえば真田の旦那のせいでしょーが!!」



走りながら会話する佐助と幸村は、必死に銀時から逃げる。






その後、当然…銀時から逃げられる筈もなく、あっさり捕まってしまった幸村と佐助。

銀時から幸村と佐助は何らかの罰を受けたという。





普段やる気ない人には注意せよ
(銀さんの大事なパフェ勝手に食べるのはやめましょう)




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