冷たさと熱さと@ 700hit (変態攻×強気受)
700hitのキリリクをして下さった
優さんに捧げます
変態攻×強気受
スラッとした長身で
サラサラの少し長めの金髪に
グレーがかったブルーの瞳
形の良い眉に
少し薄めの唇
文句のつけようがないその
美麗なルックスとスタイル
それに加えて
頭脳明晰
スポーツだって万能で
男女関係なく
人気のあるアイツは
どこから見ても
完璧だった。
…変態って事を
除けば。
冷たさと熱さと@
「!!!」
昼近くなって強まった日差しは容赦なく照付ける。それに耐えられなくなった俺は、そっと目を開いた。
いつもと同じ目覚め……のハズだったのに、俺の目の前にははやけに整った顔。ソレを問答無用でベッドから蹴落としてやった。
「い゛ったぁー!」
ドカッと派手な音がしたが、同情なんてしてやんねーよ。
「今スグ、出てけ」
「おはよ、ハニー。
今日も朝から可愛いね」
あぁ、朝から苛々する。
この変態に付きまとわれるようになってから、毎日頭痛続きだ。
「不法侵入で訴えるぞ」
「大丈夫、今日はちゃんと玄関から入ったから」
なんだその理屈は。
この変態は、出会った次の日に、押しかけるようにして隣りの部屋に越してきた。それから毎日毎日、俺の部屋に不法侵入してくる。
鍵を閉めないのかって? 当然閉めてるさ。どうやって入って来てるかなんて俺に聞くなよ。
しかもそれだけじゃない。俺の予定を本人より詳しく把握してるし、尾行や覗きも日常茶飯事。
更に質の悪い事に、俺の親に随分と気に入られていて、我が家への出入りは自由。俺の情報もだだ漏れなのだ。
ともかく、この変態には話が通じない。その存在を無視して洗面所へ向かおうとしたその時、
「おはようのチュ」
ヤツに背中を見せるなんて、油断した。
変態の前を通過して扉の目の前まで来た所で、ガッシリと後ろから抱き付かれ、耳元にヤツの冷たい唇が一瞬ふれた。
そこから悪寒広がって、背中を駆け抜ける。
「っざけんな、変態。放せ」
必死に抜けだそうと、もがいてみても、変態のクセに力が強くてビクともしない。
俺と対して変わらない体格なのに、かなり悔しい。
「やだよ、もう放しません。
せっかく捕まえたんだから」
「キモい、消えてくれ」
わざと耳元で、吐息を吹き掛けられ、更なる寒気が身を襲う。その感覚に思わず目を閉じると、調子に乗った変態は甘い声色で囁やいてきた。
「誘ってる?」
「どっからそーなるんだよ!」
少し掠れた低音は、十分な色気を醸し出していて、女の子ならイチコロだろうと思う。ただその対象が俺っていうのが、まじで意味わかんねぇ。
まぁ変態の思考なんか分かりたくもないけど。
「んー全部?その表情も声も体も、ぜーんぶ俺に犯してくれって言ってるぜ?」
コイツは絶対、脳みそが溶けている。
「病院へ行け」
いつの間にか、腰に落ちて来た手は、俺の腹あたりを彷徨っていて、さわさわ撫でられるその感覚に、胃の辺りから気持ち悪さが込み上げてくる。
「恋の病は病院じゃ治してくれないだろ?治せるのはハニーだけだよ」
また吹き掛けられる、あの甘い低音。
更にもう片方の手は、俺の髪に差し込まれ、耳にかかる髪を梳いていった。
つづく
20090211
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