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その、笑顔(伊×相)
伊織快斗×相川要





いつも笑顔の君
誰にでも好かれる君
今日も楽しそうに
君は笑っている
僕がいても
いなくても
きっと君は
その素敵な笑顔を
絶す事はない
きっと君に
僕は必要ない



その、笑顔




いつも思う。
コイツは俺といて、何が楽しいんだろう、って。

人と馴れ合うのは好きじゃない。
だから友達なんて呼べるヤツは本当に少くて。
アイツはそんな貴重な、友達と呼べる存在。

俺とは逆に友達の多いアイツ。
一番の理由は、あの人好きのする笑顔だと思う。
自然と人が集まりそこには輪ができ、何時だってアイツの周りには笑顔が絶える事がない。

クラスの奴等とはしゃぐ姿を、俺は何処か遠くにいるみたいな気分で眺めていた。
俺といる時も、はたしてアイツは、あんな風に笑っていただろうか。
深く考える事もせずただぼんやりとしていたら、突然目が合った。
アイツはいつもこうだ。
他の奴と話していても、俺が見ていると必ず気が付く。
そして必ず、俺の隣りにやって来る。

「かな?
寂しかった?」

「んな訳あるかボケ。」

お決まりの台詞に、これまたお決まりの返しをする。

「熱い視線、感じたんだけどなー。」

「頭おかしくなったんだろ。」

「…まぁ、そーかもな。」

ヘラヘラ笑ってるアイツに、訳も分からず苛々して、

「あいつらイイのかよ?
早く戻れば。」

なんて思ってもいない事を口にする。

「ん?あぁ、もーいーの。」

イイ訳あるかよ。
ほら、さっき話してた奴等の何人かがコッチ見てるじゃねーか。

「それより、あの視線は何だった訳?」

「だから、何でもねぇよ。」

「素直じゃないなぁ。」

アイツが浮かべる苦笑に、さっき感じた思いが、再びフツフツ沸いてくる。
さっきまでは、あんなに楽しそうに笑っていたのに。

「オマエ、楽しい?」

「?、なんだ、かな、そんな事かんがえたの?」

つい、ポロッと出てしまった言葉の意味を、コイツはしっかりと理解してしまったらしく、ニヤニヤと浮かべる笑みが濃くなる。

「気になるんだ?」

「べっつに。」

図星だったのを悟られたくなくて、アイツの視線から逃れるように顔を背けた。
微かに漏れた笑い声がムカつく。

「要といる時が一番楽しい。」

「!!…」

突然耳元で囁かれた言葉に驚き、ドクリと何かが音を立てた。

「…っか、耳元で喋るな。」

「かな、耳真っ赤。」

「馬鹿、煩い。」

ドクドク波打つ何かに気付かれないよう、気付かないように、俺は俯くしかなかった。
だから、知ってる訳がない。アイツが今どんな顔をしているかなんて…

聞こえるのは、やたら嬉しそうな笑い声だけ。





20090113




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あきゅろす。
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