[携帯モード] [URL送信]
先生A(神×佐)
神谷京一朗×佐伯祐介





姿勢が良くて背が高い。
チョークがちっちゃく見える、
大きな手。
低くて良く通る声。
眼鏡の奥の涼やかな瞳。

これが…授業中に観察して分かった事。



先生A


その日の授業は今までにない位真面目に受けた。
先生と視線が合ってから、途端に真面目になった俺。
いつもなら苦手な日本史の授業は3倍長く感じるのに、今日はあっという間だった。

休み時間は神谷先生の話題で持ち切りで、冷たくて厳しい、大方そんな評判の先生。
…でも俺は、冷たい印象は全くなかったなぁー。
周りの評判と、自分の印象が全然違う。
それが気になって、もっと先生の事が知りたくなった。

昼休み、たまたま日直だった俺は、さっき先生に頼まれたプリントを社会科室に届けに行く。
授業についてのアンケートだって。

進め方とか?よく分かんないけど、真面目で几帳面だな。なんてぼんやり思いながらテクテク歩く。

コンコン
「失礼しまーッす。」

ガラっと扉を開けて、滅多に入らない、いや…一度も入った事のないその部屋に足を踏み入れる。

「あぁ、佐伯か。
ありがとな。」

何事もないように言う先生。
でも、そこには信じられない光景があった。

何が信じられないって?
だって
だって…
犬がいたんだ。

学校の、しかも社会科室に。

それに、初めて見ちゃったよ。
先生の笑顔。

「佐伯、どうかしたか?」

先生にそう声を掛けられるまで、俺はたっぷり固まっていた。

「せ、先生…いぬ…。」

急にドクドクと心臓が動きだし、上手く言葉が繋がらない。

「あ?
あぁ、コイツか。
なんだか迷い込んだらしくてな?
ちょっと構ってやったら懐かれて困ってるんだ。」

困ってるなんて嘘。
ちょーイイ笑顔だよ先生。
みんなが今の先生を見たら、絶対冷たいなんて言えないし。

「可愛い。」

先生の机にプリントを置いて、先生に抱かれている犬に向かってそっと手を出すと、自分から顔をこすり付けて来た。

あぁ!!
コイツちょーかわいいじゃん。

「おいでー!」

堪らず先生の腕からその子犬を奪って、抱き上げると、クーンと一声泣いた。

「どっからきたんだよオマエ。
かわいいなぁ。」

ふわふわの柔らかい毛並みに頬擦りすると、パタパタと尻尾を振ってくれる。
そんな事されたら、大の犬好きとしては黙っていられません!
それから、チャイムが鳴るまで、ココが社会科室だと言うのも忘れる位、思いっきり子犬と遊んでしまった。

…もしかしてコレって、正夢!?




つづく


20090106


[*前←][→次#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!