小説
「レン」と俺
レンは今日も隣室で嬌声をあげている。
襤褸アパートの壁は少しもプライバシーを守ってはくれない。嫉妬を抑えられない。
俺は今日も「レン」を抱いて眠る。
貪るように愛しあっていると、「レン」の髪がごっそりと抜け落ちてしまった。激しい喪失感に襲われ、「レン」をポリ袋に詰めた。
忘れるが為に風呂場で冷たいシャワーを浴びる。脱衣場に戻ると先程棄てた筈の「レン」の肢体が横たわっていた。
何だか視られている気がして、俺は「レン」の両目を抉り、その眼窩に口付けた。
そして四肢を間接からもぎ取った。今度こそ…と2重のポリ袋に詰め、口を結った。
今度は「レン」じゃなくてレンが欲しい。
俺は隣室のドアを叩いた。
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