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ため息をつくと、運転席に戻った。

「…申し訳、ありません。あんな輩に、所長が汚されたと思うと、悔しくて」
「…和田木……ごめん、僕が至らないばっかりに」
「滅相もない、俺が悪いんです。力及ばす…」

あああ、もう、調子狂うなあ。
和田木が謝ることなんてひとつもないんだよ。多分、全部僕が悪いんだよ。
それなのに。

「俺、所長が好きです。貴方を誰にも、渡したくなかった」
「……っ、」

やめて。
もう手遅れみたいな言い方。
僕だって、君が好きだと思う。頼りになるし、安心出来る。でもそれが恋愛感情としてかは、ちょっと分からない。
でも、和田木が助けてくれて、凄く、格好良いと思ったんだ。

「…和田木」
「…はい」
「綺麗にしてからなら、別にいいよ…?」
「…え…!」
「うわっ、ちょっと、危ないなあ!安全運転してよ!」

人通りの少ない夜道だが、そんなにハンドル切ったら危ないだろ。
なんて、当たり前のことを考えながら、僕は笑った。

「今度から、僕から離れるなよ」
「はい、」

――助手の仕事に、ボディーガードが増えた一日だった。


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あきゅろす。
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