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戸惑うスピカ

この状況はどうすればいいんでしょうか、とりあえず久しぶりに会ったザンザスさんは相変わらず綺麗なお顔をしていらっしゃるのでこんな近くにお顔があると緊張します。あまり詳しいことは知らないのですが、本部のみなさんを毛嫌いしているらしく会議を一人抜け出してきてしまったようです。

「ザンザスさん、会議はいいんですか?」
「…るせぇ」
「怒られちゃいますよ」

いやザンザスさんを怒れる人なんていない、かも?ボスより絶対年上だもんなぁ。とりあえずさっきから無言で私をじっと見つめているザンザスさんになにか話題をふろうと周りを見てみるも、ただの廊下だから何もなかった。

「そういえばヴァリアーってメイドさんとかいないんですか?」
「いないわけじゃねぇ。すぐ辞めちまうけどな」
「えっなんでですか?お仕事ハードなんですか?」
「カス共の面倒見んのは普通の人間には無理だろうな」

ザンザスさんは鼻で笑いながらそう言った。ヴァリアーの人には3人しか会ったことがない。スクアーロさんは挨拶したことがある程度であとはたまにお話しするザンザスさんに大好きなベルさんだ。あと何人くらいいるんだろう、了平さんに聞いてみようかなー。

「日本人のメイドはまだ雇ったことねぇ」
「まぁイタリアですしねー」
「お前なら悪くねぇ…ヴァリアーに来い」

え、ま、まさかのヘッドハンティング!冗談かと思って笑おうとしたのだがザンザスさんは全然真面目な顔で私の頬に大きな手で触れた。日本人は真面目だろとザンザスさんは付け足した。うん、まぁ確かに…グローバルに見たら真面目なほうなのかもしれない。あぁ、ヴァリアーでお仕事できたら毎日ベルさんに会えるのに。でもボスにかなりの好条件で雇ってもらってるし、あぁでも、おんなじボンゴレ、だし…いけないことだとはわかっていながらも心が傾き始めてしまう。それに加えてこのザンザスさんの真剣な顔。ちょっと恐い。


「ベルもいる」
「う…」

その一言をザンザスさんがどういう意味で言ったのかは知らないが、私にものすごい影響力を与える一言なのは確かだった。でもベルさんとひとつ屋根の下だなんて…緊張しすぎる!それだけは間違いない。

「俺のアジトに来い」

他意はないと頭ではわかっているのにやっぱりザンザスさんのきれいな顔が真剣にそんなことを言い出すとどきっとするわけで、まごつく私を助けてくれたのは背後からした聞き慣れた声だった。

「ザンザス」

呼ばれた張本人はち、とわざとなのか聞こえるように舌打ちをしてゆっくりと振り返った。そこにはいささか不機嫌らしく眉間に紫波を寄せるボスがいた。

「ボス…会議は?」
「まだ終わってない。ザンザス、戻ってくれ。今後のファミリーに関わる重要な話だ」
「めんどくせぇ。カス鮫に任せろ」
「ザンザス」
ボスはザンザスさんを窘めるように強く名前を呼ぶ。その言葉にザンザスさんはかなり不機嫌になったようだったがもう抵抗することはなかった。こんな年上の人を一言で従わせられるボスには逆らっちゃいけないと、なんとなく思う。

「お仕事がんばってくださいね!」

ザンザスさんに笑顔を向けると無言で頭をぐしゃぐしゃされた。きっと少し不器用だけど優しいボスなんだろうな、本当はザンザスさんも。



(どうせこんなことだろうと思ったよ…nameはダメ!手出すなって)
(るせぇ、奪ったもん勝ちだ)




あきゅろす。
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