[携帯モード] [URL送信]

text
ふれていたい(300hit)









今日も変わらずに朝を迎えられた、幸せ。









■ふれていたい







「土方さんて意外と睫長ぇなァ、」

でも直毛だ、目に刺さったら痛そう。
総悟はフフと笑った。


総悟は土方の腕を枕にしている。その為至近距離で土方の顔を観察できる。

ふたり、半裸で抱き合う布団の中。夜はとうに明けていて、障子を透かす光や鳥の声が朝を告げている。


「あんまりジロジロ見てんな」

ぎゅむ、と総悟の鼻をつまむ。


「む、何すんでぃ」

仕返しと言わんばかりに土方の頬をつねり上げると、男前が少し崩壊したので吹き出したくなる。

「おら、遊んでねえでいい加減起きるぞ、仕事だ」
「えー、今日くらい休みてェ」
「あのォー総悟くんが働いてるとこ見たことないんですけどぉ」
「まぁまぁ、いいじゃないですかィ、たまには遅刻も」
「良くねェ!!」



今朝は一段と冷えまさァ、と付け加えて総悟はぴたり土方に抱きついた。



「…お前、手足冷てぇなあ」
「昨晩はあんなに熱かったのに、って?」
「阿呆」

言われて昨晩の情事が思い出され、後頭部がじわりとする。



「だいたい土方さんだって、何だかんだ言って布団から出たくないんじゃないですかィ」
「バッカおめー、お前が出たら出るよ」
「俺だって土方さんが出たら出やす」
「言ったな」



そんなやりとりをしておきながら、土方は枕にされている方の手で総悟の髪を梳くのを止めない。
そうしているうちに、一度は開いた瞼がだんだん重みを増してくる。





「土方さん」
「…ん?」




その証拠に、呼ばれて反応するのに少し時間がかかる。






寒いですねェ、ぽつり呟いた総悟の声は、眠気のためかどこか優しく響いた。










「副長ぉ〜」



朝ですけどぉ、と間延びした声が廊下に響き渡る。

いつも朝早い土方があまりに遅いので、山崎が様子を見にきたのだ。


開けますよ、一言断りを入れて山崎は障子の戸を開けた。



「あれ、」




有り得ないくらい平和な光景に、山崎は思わず口を噤んだ。

あの二人が一緒に寝てる。
っていうか沖田さんはともかく、副長が寝坊をしている。




「朝礼始まりますよ」


小声で告げるだけ告げて、山崎は部屋を後にした。




「今日はミントン日和だな」





うんと伸びをして、ラケットを取りに自分の部屋に走った。






たまにはこんな朝があっても悪くない。












_____________________

300hitぺぺ様のリクで「情事後の甘々土沖」でした。
こんなんで良かったのでしょうか…;;
とにかくリクエストありがとうございました!^^*


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!