text 冷たい頬(3Z土沖前提銀→沖) 風に吹かれた君の 冷たい頬に触れてみた、 ■冷たい頬 西日が差し込んで眩しい放課後の教室、珍しいものを発見した。 「…沖田?」 担当するクラスの生徒、沖田総悟が机にやんわり突っ伏して、すうすうと寝息を立てている。 「オイ、日が暮れるぞ」 声をかけてみたが、ぴくりとも反応しない。 「てかお前、そこ…」 多串くんの席じゃん。 ああ、余計なことに気づいてしまった。 成る程ここで多串くんを待ってるわけね。 淡い色の髪に、夕陽の赤映る。 ああ、まぶしいまぶしい。君はなんて、まぶしいんだろう。 「睫長ぇー…」 吸い込まれるように、その頬に触れた。 「…た、さん、」 呼ばれてギクリとしたのは言うまでもない。 小さく、でも確かに、彼の唇は憎き恋敵の名を紡いだのだから。 ごめんね多串くんじゃなくて。小声でぼそりと謝罪を入れてから、その瞼にそっと唇を寄せた。 柔らかい、温かい感触。 「…って、何してんだ俺…」 我に返るまで、少し時間がかかった。 ______________________ 知っていた。 これが全てで、何も無いこと。 [*前へ][次へ#] |