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甘い辛い *










しあわせがあまりにたくさん押し寄せると、人は怖く感じるんだと誰かが言った。

だとしたら、これは。













■甘い辛い











揺さぶられて、頭の中が真っ白になる。
視界には見慣れた天井が映っているけど、少し目線を落とせば土方さんの、裸の肩や背中やらが見える。
下腹の方は、ぎゅうぎゅうに土方さんのを詰め込まれて、これ以上奥には入れないってくらい。

それなのにこの男は、更に奥に突き進もうとしてみたり、かと思えばギリギリまで抜いて、そしてまた突き上げる。


「あっあっ…はぁ、ん!」
「総悟」
「ふぁ…ァん、んん、…」



そんな下半身とは裏腹に、唇は甘いチョコレートを溶かすようなキスをしやがるから、どうしようもない。

からい。土方さんが吸ってるタバコの味がする。






あまい、からい、すっぱい、しょっぱい…







「やっ!ぁ、あっ、や…」
「総悟?」






あまい、からい、すっぱい、しょっぱい…そんなにいらない。






嫌々をする俺に、ふと土方さんが手を止める。






「土方さん、俺…こわい」
「何が」
「わかりやせん、でも…」
「大丈夫、総悟。大丈夫だから」



あやすように、優しく髪や額にキスをくれる。
指を絡めて、そっと手を握る。




こうされると、もうダメだ。
頭ん中も、土方さんでいっぱいで、うれしい。うれしいのに、泣きたくなる。



たくさん押し寄せてくる。感情の波が。どうしよう。




そんなにいらない。いらない、いらない。
押し寄せて、こないで。
















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しあわせよ
あんまり はやく くるな

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あきゅろす。
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