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君こそ道しるべ











僕に、守らせて。














■君こそ道しるべ









朝のまぶしい光が、目に痛い。
なんとも清々しい朝だ。

その清々しさが、皮肉に思える。
何故なら沖田は夜勤明けで、しかもつい先程まで人を斬っていたから。



捕り物のあった薄暗いあばら屋から外に出ると、光は一層強く沖田の目を刺した。






「重てぇなァ…」







まだ生温かい人間の血がついたままの刀をプラプラさせて、沖田は呟いた。

たまに、ふと、考えてしまうことがある。
特に最近はひどくて、幼かった頃まで記憶を巻き戻して、考えてみたりもする。


自分がどうして、人を斬ったりしているのか、とか






何のために
何のために、生きて








「よォ、生きてたか」








そこに声と、黒い影。


「何でィ、土方こそ、死ねば良かったのに」
「そう簡単にやられるかよ」


影の正体は土方で、ニヤリと笑ってみせた。





「…デジャヴ」
「…あ?」
「この光景、見たことありやす、むかし」





ああ、そうだ
あのときたしかに、アンタこんな風に笑ったんだ。





「喧嘩で大勢相手にしてましてね、そりゃあもうド派手にやって。でも、土方さん、死ななかった」
「死んだら今ここに居ねえよ」
「はは、違えねェ」


沖田は目を細めて眩しい朝日を見た、


ふいに、土方が両の手で沖田の頭を掴み自分の方を向かせる。





じわりと、ゆっくり、夢から覚めるような感じがした。







土方の瞳のうちに、沖田の顔が映る。








「よくやった」










声と一緒に、額にキスが降ってきた。













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その瞳に映ったときに
今日の僕は生まれる。



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あきゅろす。
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