終わらない世界の中で
04
どうしてキスなんかしたんだろう。彼にとったら普通のこと?…それはないな。あんなことするような人じゃ…いやでも前も押し倒されたっけ。あああ!分かんない!山本のことだって考えるのも疲れた、もう知らない。どうせキスしたことに意味なんてないんだろう。ただの気紛れ、そう思えたらどんなに楽か。
放課後、仲条が下校したのを屋上から確認し教室へ向かう。
誰もいない教室で彼女は一人佇んでいた。
『遅くなってごめん』
「蓮君!」
『いきなり呼び出して悪いな』
「ううん、大丈夫」
彼女とは笹川のこと。生徒が授業を受けてる時下駄箱に紙を入れておいた。放課後教室で待ってて、と名前も忘れずに。
『ありがとう…で、話なんだけど俺に話し掛けるな。もう関わらないでほしい』
「えっ…どうして?迷惑だった?」
『違う。仲条のことで巻き込みたくないんだ』
「それなら私は平気だよ」
前もこんなやり取りしたような…したな。
『俺は駄目なんだ』
「そんな…だっておかしいよ。蓮君は何も悪いことしてない、そうでしょ?山本君のユニフォームぐちゃぐちゃにしたのだって本当は奏美ちゃんがっ!」
『なんでそれ…』
「たまたま見ちゃったの。放課後忘れ物取りに行ったら何か切ってるような変な音が聞こえたから怖くてそっと覗いてみたら奏美ちゃんが…」
その姿が怖くて忘れ物を取らずそのまま家に帰ったらしい。
『それ仲条の奴にはバレてないよな?』
「うん、多分大丈夫だと思う…。花も奏美ちゃんを疑ってるけど逆らうと怖いから…何も言えないの」
長い黒髪のことかな。理解してるなら話は早い。
『取り敢えず気を付けろよ』
「うん。学校以外のとこも…?」
『ああ』
見られてた訳だし徹底的にするに越したことはないだろう。
「…分かった」
悲しげな表情を見ると俺が悪いことしたみたいで少し罪悪感があるが仕方ない。
これくらいでこんな気持ちになるなんて随分感化されたものだ。我ながら情けない。
彼女とも普通の一人の人として出逢えたなら友達になれただろうか。
私に普通や平穏など、有り得ないのに最近よく考える。何を思って九代目は日本へ行かせたのか…その意味と意図を。
ひとつ嘘を付いた。小さな小さな嘘だった。それが、いつの間にか私の心を鈍く焦がして、私はこの胸の痛みに潰されてしまうんだ。
20120324
シルバーさんこんにちは♪
レビューありがとうございます(^ω^*)
一年くらい放置してましたね、すみません…
読んでくれてる人いないのかと思って全く更新してませんでした。でも!好きと言って下さったので(´;ω;`)更新再開します!久々すぎてイマイチな、納得いく話を書けませんでしたがとりあえずup←
後から少し修正していきますっ!
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