終わらない世界の中で
02
太陽は傾きいつの間にか空はオレンジ色に染まっていた。
『そろそろ帰るぞー』
「やだやだランボさんまだ遊ぶー!」
家の人が心配するだろ?と言っても聞かない。尚も俺の服にしがみつき離れようとしない。…手強いな。フゥ太やイーピンまで帰りたくなさそうな表情をしている。
『また今度遊ぼう、な?』
「………」
『なんだよ遊びたくないのか?』
「違う!けど………蓮お兄さん絶対だよ、約束!」
『約束』
小指と小指を絡め指切りをした。
そういえばあの時は拳を当てたな…。今度こそは約束守らないといけない。
『……三人って沢田の家に住んでんの?』
「そうだよ。居候中」
家に着き、驚いた。表札にハッキリ「沢田」と書かれていたから。
『俺と遊んだこと言うなよ』
「なんで?」
『なんでも』
名前は絶対出すな、と念を押せばフゥ太は頷いた。ランボとイーピンは聞いてたか分からないが…。
「じゃあねー!」
「バイバーイ!」
手を振り三人の子供達と別れた。
あとは笹川と俺の二人だけ。
『笹川も家まで送るから道教えて』
「え、いいよ悪いし…」
『これは男として当たり前のことだから素直に甘えとけって』
「…それじゃあお言葉に甘えて」
暫く歩くが会話がない。
そりゃ先程までランボ達がいたし俺と笹川は面と向かって話すのは今日が初めてだ。無理もない、か。
『今日はありがとう』
「お礼言うのは私の方だよ、迷惑言っちゃって…」
『迷惑じゃねーよ。でも俺といて楽しかったか?』
「もちろん!前からずっと蓮君と話してみたかったから今日は沢山話せて嬉しかったよ」
隣でこんなに恥ずかしいこと言われると照れる。可愛いな…同性だとは思えない。
「あの…今度私の家に遊びに来て」
唐突すぎる言葉に驚いていたら言った後で相手も気づいたんだろう、真っ赤になって「もっもちろんランボ君達と一緒に!」と付け足した。
『あははっ!』
「わ、笑わないでよ!」
『ごめん、だって…可愛くて』
「え……」
再び顔を赤くする笹川になんだか自分まで恥ずかしくなって吃ってしまった。
『あ、いや、なんでもない』
また沈黙になり暫くすると笹川の家の前まで来てしまった。
「私の家ここだから…」
『それじゃ、』
踵を返し本来た道を戻ろうとした。
「またね。学校で!」
後ろから聞こえた声に振り返り、
『…またな』
そして俺も家への帰路を歩んだ。
「あ…蓮君にメアド聞きそびれちゃった…(また機会があればいいな)」
慌ただしく玄関の扉が開きドタドタと複数の足跡が俺の方に向かってる。
「ツナ良いだろ〜飴貰ったんだぞー!」
ランボが頭から探り飴の入ってない空の袋を俺に見せた。知らない人から物貰うなって言ってんのにきいちゃいない。
それについてはフゥ太が詳しく説明してくれた。ランボが転んで泣いてる所をカッコいいお兄さんが飴くれて助けてくれたとか。その人を思い出したのかイーピンが顔を赤くしてる。
「そーいえばお前達どこ行ってたんだよ」
「えっと、」
「ツナには関係ないもんねー!」
「なっ…教えろよ」
「あ!京子と遊んだんだぞー!」
「京子ちゃんだって!?」
「飴くれた赤い髪の人とも遊んだもんね!」
「赤い髪?」
赤い髪と言われて思いつく人物は今のとこ一人しかいない。もしかして、と思い名前を聞こうとしたらフゥ太に阻止された。
「ランボそれ以上言っちゃダメだよ!」
どうしても教えてくれないのかと言っても「約束だから!」とフゥ太も聞かなかった。
ランボに聞こうにも名前を忘れた様子だった。
「そんな訳…ないよな」
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