終わらない世界の中で
01
今日は休日、傷も大分よくなった。この辺の地理にも慣れてきたし少し遠出しようと考え歩いていた。
「うわああああ!」
なんだなんだ。泣き声のする方へ行けば小さいアフロの角の生えた子供が泣いていた。
「ランボお願いだから泣かないで」
傍で栗色の髪をした男の子と髪を一つに纏めた小さい女の子?が一生懸命慰めている。ほって置けなく傍に近寄りしゃがみ声をかけた。
『大丈夫か?』
「うっ…ぐすっ」
どうやら転んで泣いてしまったみたいだ。ポケットに何かないか探ったが飴しかなかった。
『あー…これしかないけどやるから泣き止め』
出したのはグレープ味の飴玉。
「くれるの?」
お、ピタッと泣き止んだ。好きなのかな。
『ああ』
「やったもんね!」
良かった…。早速口に入れ舐めてる。何これ可愛い、モグモグしてる。
「お兄さんありがとう!」
『いいよ別に』
もう飴を持ってなくあげられなかったなかったがそれでも男の子は「大丈夫だよ」と言って笑った。子供ってこんなに可愛かったっけ?
「お兄さん名前なんて言うの?」
『蓮だよ。君達は?』
「俺ね俺ね!ランボさんっていうの!」
「僕はフゥ太!この子はイーピン」
隣に並ぶ女の子が外国語で挨拶した。
「ねー蓮遊ぼー」
ランボが俺の服を引っ張り駄々をこね始めた。それをフゥ太とイーピンが止めに入る。
「迷惑かけちゃダメだよ」
『俺はいいよ。遊ぶか』
「ホント!?」
止めに入ってた二人まで顔を輝かせ頷けば三人は「やったー!」と喜びを露にした。ヤバイ本当可愛い。
「蓮君…?」
不意に名前を呼ばれ振り向けば私服姿の同じクラスの笹川がいた。
『あ……笹川…だっけ?』
「うん。笹川京子っていうの」
『悪ーな。クラスの名前覚えてないんだ』
「いいよ、まだ来たばっかりだもんね」
来たばかりと言うが交流がないから覚える気もない。
「あー!京子も遊ぶぞー!」
「そうだね。みんなで遊ぼっか」
ニコッと笑った。三人はまた喜んだ。
『おっおい、いいのか?』
「うん。予定もないし私も遊びたかったの」
『…その、俺といて大丈夫か?』
「どうして?」
『俺といるとこ見られたら変な噂立つんじゃ…』
「気にしないよ。それに蓮君があんなことする筈がない」
『でも笹川まで巻き込まれるかもしれない』
「私は大丈夫」
『俺は嫌なんだ』
絡み合う視線を逸らさずじっと見つめる。彼女もこんな真剣な目するんだ…。
「…今日だけでも一緒にいれないかな?」
『……今日だけだからな』
「二人なに話てんだー!コソコソしちゃいけないんだぞー!」
「ごめんね、それじゃ何して遊ぼっか」
笹川は慣れたように三人の相手をする。
公園へ行こうと言うことになり(ランボが言い出した)近くの公園に向かった。
着いてからは鬼ごっこしたり砂場で変な形の物作ったりフゥ太やランボやイーピンが乗るブランコを後ろから押したり色々して遊んだ。
笹川と二人ベンチに座りまだ遊び周る三人を見つめ、俺にも兄弟がいたらこんな感じなのかなと少し感傷に浸ったりした。
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