オレンジの世界に、王子様と、/リョ桜
放課後、男子テニス部の部室の近くの壁で練習してたら、突然リョーマ君に手を引かれて屋上まで来た。
連れてこられてから結構時間が経って、気付けば空はもうオレンジ色で、私とリョーマ君を照らしている。
グランドや、テニスコートなどから声が聞こえてきた。
「リョーマ君…」
そう何度も呼んでいるのに、私の方を全く見てくれない。
ただずっと、フェンス越しにあるテニスコートを見つめていた。
「…練習、出なくて良いの?」
「今日はいい」
やっと答えてくれた。
でも、リョーマ君の口から出た言葉は意外なモノだった。
「竜崎」
「えっ、あ、何?」
「俺、竜崎の好きなんだけど」
「うん…って、えぇぇ!?」
「…そんなに驚く事ないじゃん」
今日のリョーマ君、なんか変だ…
リョーマ君が私の事、好きなんてあり得ないよ…
「あ、今俺が竜崎の事好きなんてあり得ないとか思ったでしょ?」
「なっ…」
「ふーん、図星なんだ」
リョーマ君が、いつも試合で見せる笑顔、だけどどこか意地悪そうな顔で笑った。
夕日に照らされたリョーマ君の顔が、綺麗でちょっと見とれた。
その瞬間、私の唇に何かが触れた。
それがリョーマ君の唇だと気付いたのは、すぐだった。
「信じてくれた?」
少し自慢気に言うリョーマ君。
私は黙って頷いた。
オレンジの世界に、王子様と、
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