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君のいない世界/宍戸、戦争パロ


(悪い夢を見ているようだった)



「ごめん」

そう言ったあなたの顔は凛々しくて、
どれだけこの世の中を恨んだだろう。


行かないで、
そんな事を言った所で、あなたへの命令は取り消しになんかならなくて…



彼……宍戸亮は、所謂幼なじみ。
あたしは、亮が好きだった…いや、ずっと好き。
亮はあたしの事、どう思ってるかなんて知らないけど。
(亮のお兄ちゃんは、亮はあたしの事が好きだと言っていたけど…)



「…ごめん」

「何度も謝らないで」

「俺、本当は美姫の事…「それでは出発する!!」」


最後にあなたは何を言ったかは、なんとなく口の動きで理解した。

泣きそうになった。
声をあげて、大きな声で泣きそうに。


その後の事は、ほとんど覚えていない。
微かに覚えているのは、ぼやける視界に映ったあなたの悲しそうで、悔しそうなあの表情。

(お願い、そんな顔しないで)







亮が行ってから数週間後、日本が戦争をやめた。
結果は勿論、負け。

みんな悔しがったりしていたけど、あたしにはそんなの関係なかった。

駅へ向かった。
もしかしたら、亮が帰ってくるんじゃないかって思ったから。


「美姫先輩…」

「鳳、くん」

「お久しぶりです」


待って、待ってようやく現れたのは残念な事に亮ではなく、後輩の鳳くん。
亮と同じ日に、同じ所へ行った人。

数週間ぶりに見た鳳くんは、少し痩せたように見えた。



「あの…宍戸さん、ですけど…」

そう言った鳳くんの顔は、辛そうで、泣きそうで…

その時、分かったんだ。
嗚呼、あの人はもう帰って来ないと…








君の消えた世界
「ごめんなさい」
そう言った鳳くんと、あの時の亮が重なって見えた。


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