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ボタン、1つ。/宍戸亮+忍足、向日、鳳


温かい風が吹く。
空は綺麗な青。

今日は、卒業式に最適な日だ。


3年生達が、校門の周りでそれぞれお別れの挨拶をしていた。
とは言っても、大抵の人は氷帝の高等部に進学するから、泣いたりしている人はあまり居なかった。



「宍戸さぁーん」

「泣いてんじゃねぇよ、長太郎。別にもう二度と会えねぇわけじゃねぇだろ?」

「そうですけど…」


氷帝テニス部の名物コンビの、鳳は宍戸先輩に泣きながら挨拶している。
……男が泣いてんじゃねぇーよ。



「お、美姫じゃん!」

「ホンマや、おいで美姫」


宍戸先輩達の側にいた向日先輩と忍足先輩が、あたしを呼んだ。
少し離れた場所にいた上、人がたくさんいたのに、あたしに気付いた事がちょっと嬉しかった。
(本当にちょっとだけだけど…)


「先輩、卒業おめでとうございます」

「おぅ!ありがとな」


くそッ、可愛い…!!!
ニィ、って笑った向日先輩の顔が可愛かったと思った事は黙っとこう。

つーか、宍戸先輩にさりげなく助けを求められてるし…
・・・ま、泣きつかれちゃったら困るよね普通。


「…鳳、ちょっと泣きすぎ」

「だってこれから宍戸さんと一緒にテニス出来なくなるんだよ?」

「だから!!休みの日とかいつでも出来るだろ!」

「俺は毎日宍戸さんとしたいんです!!!」



・・・え?
どんだけ宍戸先輩好きなんだよ…
まさか、本当に宍戸先輩が…


美姫、少し黙って?

・・・・怖いンですけど!!!!


「長太郎、その辺にしとけ」

「…はい」


なによ、あの態度の違い。
……一瞬睨んできたけどさ。



「あ、美姫…コレやるよ」

宍戸先輩が突然、鳳の黒さに若干固まってたあたしの手を掴んで、何かを握らせた。


「…ボタン?」

「だ、第2…ボタン」


ゆっくり見ると、そこには氷帝の校章のついたボタンが1つあった。






ボタン、1つ。
「あ、美姫良いなぁ…」
「ちょっ、さりげなく奪うなって!!!!」





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