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ひまわり/バトテニ?、死ネタ、向日夢


生暖かい風が吹いて、誰かに名前を呼ばれた気がした。
振り返ってみると、そこには小さなひまわりが咲いていた。


ひまわりは咲いて、



暗くて寒かった。何もなくて、ただ怯えていたあの日。
目を閉じると、あの頃の楽しかった思い出。今は、辛く苦しい日々。
怖いと思った。いつ誰がココに来るか分からないから。
と言っても、今は俺とアイツしか残っていないけど。

ガサガサって音がして、懐かしくて愛しい声が聞こえた。


「岳人…??」

「・・・・美姫」

「ここに、イタんだネ?」


美姫の目は焦点が合っていない。
どこか遠くを見ているようで、何故か泣いているように見えた。
ヘラヘラって笑う美姫が、何となくあの頃の美姫と変わってなくて、安心したけど少し怖かった。


「岳人……岳と………がくと…」

美姫はただ、俺の名前を呼び続けた。
武器である、日本刀みたいな刀を向けて泣きながら、呟いていた。

壊してあげる、美姫は俺を見つめながらそう言った。
何のことか分からなくて、聞こうとした時だった。


「岳人の世界、美姫が守るからね」

そう聞こえて、気が付けば紅いモノが広がってて、その中心に美姫がいて……
状況を把握するのに時間はかからなくて、すぐに何が起きたか理解出来た。



「……美姫?」
名前を呼んでも返事はなくて、

「…起きろって…ひまわり、見に行くんだろ?」
目を開けてくれることはなくて、

「優勝、向日岳人」
そんな言葉、耳に入るワケなくて、
暗く寒い空の下、誰が来たのかも知らなくて、ただ美姫の事しか頭になかった。



思い出しただけで頭が痛くなる3日間。
誰もが辛くて苦しくて、生き延びることに必死だった。
それは俺もだけど、美姫も必死だったんだと思う。

監督に頼んで、レギュラーのみんなと美姫のお墓はひまわりがたくさんある所に作って貰った。
美姫が好きだったひまわりに囲まれて、今頃みんなは笑い合ってたらいいな。




ひまわりは咲いて、
(ひまわりに背を向けて、歩き出す。)


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