今は、まだ/沖田夢、一応3Z
君のためなら死ねるとか、そんなクサい言葉なんていらない。男なんて愛してる、なんて愛言葉を言えば女は落ちるとか思ってるかも知れないけど、少なくとも私は落ちない。男なんて嫌い、大嫌い。
「アンタみたいないい女が男嫌いなんてもったいないでさァ」
───沖田総悟、同じクラスで隣の席だという事以外なんの接点もないただのクラスメート。挨拶程度の会話しかしたことのないはずなのに、どこから私が男嫌いという情報を手に入れたんだか…(まぁ、お妙ちゃんか神楽ちゃん辺りから聞いたんだろうけど)
「…別に沖田くんには関係ないでしょ」
「関係大ありでさァ」
「なんで?」
「アンタが好きだから」
今、なんて言った?私が好き…??何の冗談よ、笑えない。きっと沖田くんはこうやって女の子を口説いてきたんだわ。真剣そうに言ったって無駄よ。女の子はみんな、今の沖田くんの顔を見て落ちたに違いない。
「信じては貰えないかもしれねぇが、俺は本気でさァ。
昔の男と何があったかは知らねェけど、俺はお前を傷付けたりしない」
……前言撤回。沖田くんは冗談なんかじゃない、本気で私の事を好きなんだ。でも無理。沖田くんだってきっと、あいつみたいに裏切るに決まってる。男なんてみんなそうに決まってる。
「今すぐ返事をくれなんて言わねェ。でも、いつかは……」
そう言って沖田くんは私を抱きしめた。その腕の温もりが、あいつに似ていて、嫌なはずなのに何故か心地良くて、私は思わず抱き返した。沖田くんの腕の強さに妙な安心感を覚えた私は、そっと涙を流した。
今は、まだ
(二人が1つになるまであと少し)
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