幻滅デイリー 流星群-Winter- 「あ、流れ星!」 凍えそうな息を吐いて、彼は言った。 「そりゃ、今夜は獅子座流星群が見られるんだ。流れ星も、多く見られるだろうさ」 流れ星なんて、あまり興味は無かった。けれど、彼が強引に連れていくものだから厚めのコートやら耳当てやら手袋やらで重装備して寒空の中、こうして立っているのだ。 「……、……、……!」 「何してんの」 「バッカだな、早くお前も願い事しろよ。流れ星が終わったら、どうするんだよ」 どうもしませんけど、それが何か。というか、お前こそ願掛けしていたのかと脱力する。 「非科学的だ」 「ほら、願った者勝ちなんだから早く!」 「だって、願い事なんか無いし」 「何だって良いんだよ、ほらー!」 「……あ」 「何?」 「それじゃあ、一回だけ。叶ったら、良いかなと思う願いを」 キラリ、と向こうの空が光る。 「世界が、ぼくに跪きますように」 [戻][進] |