幻滅デイリー 逃げるな、逃げろ! 「警察官ってのは、降伏しちゃいけないそうだ」 はァーッ、と肺に溜めた煙を吐き出す男。俺にも一本くれ、とジェスチャーをする。すると、快く箱を傾けた。 「何でさ」 「ん」 一本貰い、火を借りて付ける。 「犯人は降伏しても良いけど、警察官は逃げちゃいけないんだってさ」 「変なの」 上を向いて、肺一杯の煙を吐く。 「何で?」 男は、さも不思議そうに言う。俺は、その疑問の方が不思議だった。 「だって、犯人も警察官も人間じゃないか」 「……お前、警察官に向いているよ」 吸っていた煙草を、此方に向けられる。 「はー? 嫌だよ、あんな3Kレベルの仕事」 「警察官には意地が大切なんだ、お前にはピッタリだぞ」 ニヤニヤと笑って、吸っていた煙草を落として踏み消す。そして、二本目に手を伸ばす。 「嬉しくない……」 「大事だぞー」 ハハハと笑うと、火を着けて再び吸い始める。 「そういや、ニュースのインタビューって被害者は必ず良い人だったみたいな印象ある様な」 「死んでからも、貶める必要も無いからじゃないか?」 「でも、同様に加害者も意外と庇護される気がするな」 「日本は甘い、っていう何よりの証拠さ。未来の警察官、事故った時はシクヨロ」 「何だよ、ソレ」 ※どうも、不謹慎になってしまう。 [戻][進] |