幻滅デイリー ニートな天使と ニートに、人間も天使も無いんだなァと不謹慎にも思ってしまった。 っていうか、こいつは天使じゃねえ。っていうか、天使だったとしても人間の風上にもおけねえよ! なんて、ふてぶてしい野郎なんだ! 「総一郎、お茶無くなった。ついでに、饅頭食いたい。買ってこい」 「にゃろう……ッ!」 こめかみに青筋が立つのが、自分でもリアルに解った。 「総一郎ォ?」 昼メロを見ながら、寝転がっている男を蹴り飛ばす。何が、不倫の愛憎劇だ。いてこますぞ、この野郎。 「何すんだよ、総一郎。あっぶね、マジであっぶねえな。反抗期か?」 「うっせ、お前天使じゃねえだろ。悪魔だろ、もしくは貧乏神。死ね、もしくは失せろ。はいか、イエスで答えろ」 「カリカリすんなって、禿げるぞ」 カリカリさせているのは一体、どこのどいつだか知って言っているのか。この、馬鹿は。 「俺様は、天使だって最初に言ったろ」 「ニートなら、天使じゃねえだろ。天使は、職業の一環とか何とか言ってたろうが。つか、マジで出てけよォォォ! もしくは、もう出ていって下さいィィィ!」 養えねえんだよ、こんな役立たずは。俺、学生だし。 「えー、嫌だ。過ごしやすいし、下僕はいるし、第一神様がここで修業してけみたいな事言ってたしい」 本音が見えたぜ、クソ野郎が。 「ね? 可愛いマスコットじゃーん」 「テメエ、いい加減にしろォォォ!」 一徹の親父ばりに、俺はちゃぶ台をひっくり返した。 ※ 「お隣りさん、今日も煩いわねえ。一人暮らしなのに、難儀ね」 ぽり、と浅漬けを食べながら大家は窓を開けた。 ※ 天使が幸福の象徴だなんて、誰が言ったか。 [戻][進] |