幻滅デイリー 極まり無い、上下関係 「クソ、忌々しい」 すらりと伸びた長細い脚を押さえながら、少年は言った。顔立ちは女性的だが、喋り方は男その物である。すると、隣にいた少年は訊いた。女性的な顔立ちとは程遠く、骨格や筋肉もそれなりに大人に近い少年だった。 「一体、どうしたよ」 「昨日の体育で、筋肉痛なんだ」 端整な顔を歪ませ、歯を食い縛る。隣の少年は体育くらいでは、どうやら筋肉痛になった事は無い様だ。 「良いじゃないか。筋肉が出来る、ってのが解るし。……そういや、俺も暫く筋肉痛になってないな。運動量を増やすか、うん」 「お前、マゾか?」 歪ませた顔を元に戻し、喉の奥でクツクツと笑った。綺麗な顔は、隣の獲物を眼で捉える。フラリと立ち上がり、壁へと追い詰めていった。女性的ながらも、迫力は男その物である。 「は、はァ……?」 「不愉快だ」 「な、何がだよ」 その声に、ガツンと壁を殴る。どうやら、女王陛下はタメ語を使われたくないらしい。 「不愉快なんだよ。俺の言いたい事が解らないのか、このドMが」 「何なんだよ、一体! だから、俺はそんな性癖持ってないっつうの!」 「煩い、黙れよ。お前は俺の質問にだけ答えろ、俺が話せと言った時だけ話せ。解ったな」 [戻][進] |