幻滅デイリー 明日からは、無職 御家芸を取られちゃ、生きる術も持っちゃいない。情けない、この体。家族を養う事すら出来ない、この腕。 「そんなに、ガッカリしなくたって良いじゃないですか兄さん」 妹は意外と、豪胆だという事を知った。 「わたし、兄さんが殺し屋だって知っていましたし。借金を一人で背負っているのも、知っていました」 「いつ、それを……」 「主人公の変身がバレないなんて、テレビの中だけなんですから」 片腕が無い、殺し屋なんて終わりじゃないか。いや、もう普通の生活だって儘ならない。 「二人なら、何とかなりますよ。わたしだって、働けるんですからね」 「……………」 そうか。こいつも、もう16歳なのか。胸の、痞がおりた様だった。 「兄さんの跡は、わたしが確りと継がせて頂きますからね!」 病弱な妹は、重いだろうその拳銃を手に取った。ズシリとした重みを感じたのか、「わわわッ」と言ってふらつく。 「無理だ」 「じゃ、じゃあ、薬の勉強します! トリカブトや、テトロドトキシンくらいは知っています!」 何とアバウトな妹なのだろうか、と溜め息が出てしまう。 「馬鹿だろう、お前」 「わたしは、兄さんの妹なんですよ!」 一体、どういう意味だ。 [戻][進] |