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名探偵の助手
安楽椅子探偵録
「莉子、お前はとてもワトスンになれそうも無いな」
自称探偵の扇城寺有弥はそう言いながら、助手の伊部莉子の頭を軽く小突く。
「何するのよ!」
「褒めているだけだ」
ははは、と笑う彼を睨みつける莉子。
「全然、褒めていないじゃない。この、ナルシスト!」
「褒め言葉か?」
「毎回何なの、回りくど過ぎるのよ」
すると、一つ咳ばらいをする扇城寺。
「お前は、シャーロック・ホームズも読んだ事が無いのか」
「あ、あるわよ! ま、漫画だけど」
彼女は、石ノ森章太郎のねと付け加える。
「では、ワトスンを知っているな」
「怪我の為に一線を退いた軍医で、ホームズとルームシェアをしていた人でしょ」
「そこだ!」
説明を終えた莉子の鼻先に、人差し指を突き付ける彼。
「な、何がよ」
「ワトスンは、少し間抜けであるべきだ。そう、読者より少し馬鹿であるべきなんだよ」
「とか言って、前回全然活躍出来なかったからじゃないの」
ふん、と莉子は扇城寺を鼻で笑う。
「何か言ったか?」
彼の引き攣った顔を見た莉子は、それ以上何も言えなかった。





(了)


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あきゅろす。
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