シスター&ブラザー!
その姉、赤面す。
「偵察?」
「あぁ…7時に雷門駅前に集合だからな」
「ちょ、シンケンジャー見られないじゃないの!」
「…録画しろ」
シスター&ブラザー!
「辺見に、土門に、佐久間姉弟は…まだか」
「連絡もつかないな」
「あと10分待って来なかったら、もう行くぞ」
予想通り、美咲が時間ぴったりにくるわけなく…メンバー全員は呆れ顔でため息をついた。
佐久間もきっと、姉のせいで遅れてるに違いない。私服で着せ替え人形のごとく遊ばれているのだろう。
「たく、あいつら仕方ねぇな」
「まぁまぁ…もうちょっとだけ待とうぜ」
そして、もうラスト1分のところで、美咲の声が動きだそうとした俺達の足を止めた。
「お待たせ、皆!」
「お待たせしました…」
詫びる気もなく、ギリギリに現れた美咲と、後ろにはなんだかゲッソリした佐久間が引きずられている。
「遅刻の原因はねー、次郎の服が決まらなくて…もう可愛いからなんでも似合うんだもん。あぁ…やっぱりあのジャケットにすればよかったかな?でもでもこのブーツに合うのはこれよね。うん。でも可愛いズボンもあったし、あれにして、この前買ったドクロのシャツを合わしたほうがよかったかな?それにしても、次郎の可愛さにはもう感激だよーもう神秘よね」
「……っ、いい加減黙れ!!」
「なによーまだ語り足りてないわよ」
「これ以上は、色んな意味でつらい」
「ちっ、このドレッドマンめ。
なにその私服、視聴者を裏切るわよ。
鬼道の分際でかっこつけすぎよ、カッコイイと思ってんの?鬼道くん」
「うるさい!お前こそなんだそのヒラヒラは!遊園地に行くんじゃないんだぞ!目立ってしょうがないじゃないか。普段でもお前は目立つのに、余計目立つだろう!」
ひたすらお互いに文句を言い合ううちに、気付けば集合時間を1時間半も過ぎていた。
「…ていうかさ、この喧嘩、お互いに「あんたカッコイイのよ!」「お前は可愛いんだよ!」に聞こえるのは、俺だけ?」
「あぁ…実は結構いい感じだよな」
「姉貴と鬼道さんが?いい感じだと?…このデコハゲ!そんなわけあるか!殺すぞ」
「なんで俺だけ?つーかハゲてねぇし」
「いいから、お前邪魔してこい!ジャッジスルー!」
「うぉおお!!」
佐久間の見事なジャッジスルーで飛ばされた辺見は、鬼道の背中に思いきりぶつかりまるでドミノのように、美咲を巻き込んで倒れた。
「いててっ…すいません、鬼道さん!大丈夫ですか?」
「ばか、押すな…っ!」
ちゅっ。
「ああぁあああ!!」
「うわぁああああ!」
辺見に背中を押され、ギリギリの位置で耐えていたのが崩れ、思いきり、美咲とキスをしてしまった。
「……す、まない…」
「…………か」
「な、なんだ」
「初めてだったのに…ばか!!」
俺だって初めてだ、とか言えないくらい、美咲の顔は真っ赤で、こっちまで赤くなってしまうじゃないか。
まただ、また…胸が高鳴る。
「この変態、ゴーグルマントォオオ!」
その理由を考える前に、俺の顔には美咲の拳がヒットして、起きた時にはすでに一日が終わっていた。
その姉、赤面す。
(おい、ハゲ!誰がキスさせろって言ったんだよぉお!!)
(お前が押すからじゃねぇか!!)
(言い訳すんな、ハゲェエエ!!)
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