シスター&ブラザー!
その姉、見直す。
「まず、お前が俺にしてくる嫌がらせはいつ終わるのか話そうか」
「一生終わらないし、やめないわよ」
「なんだと?」
「そんな、顔真っ赤にして、喜ばなくてもいいわよ「俺は怒っているんだ!」
シスター&ブラザー!
源田の言う通り、美咲と話をしようと屋上まできたのだが、やっぱりまともに話ができるわけなく、なんでこんなに俺は嫌われているんだ…
「一体なんで俺のことをそんなに邪険にしているんだ お前は」
「ムカつくんだもん!」
「…その理由を聞いているんだが?」
「だから、ムカつくから」
…こいつ言語理解能力がないのか?
理由を言え、理由を!!
「一体何が嫌なんだ?
佐久間がサッカーすることか、俺の仲間としてチームにいることか」
「…サッカーをする次郎は好きよ。
可愛いし、かっこいいし、ペンギン可愛いし、やっぱり次郎可愛いし」
「可愛いしか言ってないぞ……じゃあ、単に俺が嫌いなのか?」
「違うわ。あの可愛い次郎が、こんなわけわかんないゴーグルに憧れてるのが納得できないだけ!」
美咲はキッと俺を睨みつけ、まるで野良犬のように威嚇している。
ぐるるっと唸りはじめそうなくらい、恐ろしい剣幕だ。
だけど、美咲の思っていることはだいたい理解できた。
「なるほどな、姉離れが悲しいだけか。ガキだな」
「な、なんですって!?次郎は今でも私にラブだもの!私から離れたりなんか…しないんだから…っ」
「俺にも、妹がいる。
事情があって側にはいられないが、俺はあいつを、春菜をずっと思ってる」
「は?なに、あんたシスコン?キモい…」
「お前に言われたくはない。
自分に頼らなくなったことは確かに悲しい事だ。だけど、それを嬉しく思うこともある」
「……私は、ない…!!」
「いつか分かるさ、美咲にも」
立ち上がって、大人しくなった美咲を見れば、まだ少し威嚇した顔で俺を睨みつけた。でもどこか可愛いげがあって、佐久間そっくりの顔だけど、やっぱり女らしい。上目づかいが、不意に胸を高鳴らせた。
「私、やっぱりあんたが嫌いよ!」
「そうか。それは残念だ」
「なに、その笑顔!ムカつくわね」
その姉、見直す。
(少しくらい鬼道のこと見直し……いやいや、ありえないわ)
(何、一人で喋っているんだ?)
(黙れ、ゴーグルマント!)
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!