シスター&ブラザー!
その姉、合宿す。
「…今日はここまでにするか。美咲、頼んだぞ」
「はいはーい。みんな、タオルとドリンクよ」
最近は美咲からの嫌がらせもなく、美咲自身、マネージャーとしてちゃんと仕事をこなしてくれている。
じきに始まるフットボールフロンティアに向けて、士気に乱れがないことは嬉しい限りだ。
「あ、鬼道。貴方へ総帥からの指示よ」
美咲はタオルと一緒に、一つの封筒を手渡してきた。
「総帥から、指示だと?」
「なんだなんだ?」「まさか、新しい必殺技の開発とか?」「もしかして特訓メニューじゃ…」 と、帝国メンバーがたちまち集まって俺の周りを囲んだ。
封を切り、取り出した紙には…
「帝国学園サッカー部特別合宿のお知らせ…?」
シスター&ブラザー!
「バナナはおやつに入るか?」
「鬼道さん、ペンギンは連れて行っていいんですか?」
源田のボケ(本人は本気かもしれないが)や佐久間の意見はとりあえず流して、合宿の目録を知っている様子の美咲に聞いた。
「これはどういう事だ?」
「どういう事もなにも、合宿よ」
「どうして合宿なんかに行く事が決まったんだ?」
「私が行きたいからよ、合宿に」
「……お前…この大事な時期に何考えているんだ!!」
「いいじゃない。
フットボールフロンティアの前にメンバーの親睦を深めて、更に結束を強めようって総帥に提案したの!
総帥は、喜んで承諾してくれたわ」
美咲の楽しそうな笑顔は、もうどれだけ反論しても覆せそうになかった。
「…はぁ…仕方ないな……
では、みんな来週からは合宿に行く。
各自準備を怠らないように!以上だ、解散!」
「「はいっ!!」」
まぁ、たまにはこんなのも 悪くはないか。
「ちなみに佐久間、ペンギンは連れてくるな」
「…えっ?!俺にはこいつらを置いてなんていけませんよ!!見て下さい、このつぶらな瞳を!」
「そうよ、鬼道!次郎といったら、ペンギン!ペンギンよ?!私の次郎はペンギンなのよ。ペンギンっっ!!」
「えぇい!黙れっ!」
その姉、合宿す。
(ペンギンー!!)
(喚くな、騒ぐな、黙りやがれ)
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