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終演-金蝉・悟空-
「ユエ!」

金色の瞳は血に濡れた刀を見て狼狽していた。扉が開かれるその瞬間、彼らは闘神の表情に背筋が凍る思いだった。

「‥金蝉童子、何をしているのか理解なさっているのですか」

「はっ、こうなったのも仕方がねぇだろ」

「‥‥」

二人の結末を語るアナウンスと目の前の闘神の太刀、それは今自分達に向けられているのだと言うことも、仕方がないと金蝉は薄く笑う。

「悟空、」

「ユエ、ユエ、なぁ捲にぃちゃんは?天ちゃんは!」

「‥あとであえます、今は我に従ってください」

言うが遅く、扉は開いて、悟空は外に出てしまった。閉じる扉に挟まる金蝉にユエは駆け寄る。

「金蝉童子!」「てめぇも行け!」

「しかし、しかし‥」

「自由になりたい、これは本音だろ、このぐらいの隙間なら抜けられる‥悟空と、いけ」

「いやです、金蝉!」

悟空は手を伸ばして闘神の名を呼ぶ、しかしその手を取ろうとはしなかった。目の前の彼を助けようと必死に扉に刀を埋める。しかし扉は閉じる力を強め金蝉が血を吐いた。

「悟空!」「ユエ!」
無惨にも扉は閉まり、金蝉は消えてしまった。ユエは扉の向こうにいる小さな少年の名を力一杯叫ぶ。向こうから返事はなく、ただただ、立ち尽くすのみだった。

終わりへと、導くのは彼の声


静かに落ちる観音の声を聞いたユエは意識を手放した。


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あきゅろす。
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