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平介と秋+10
「へーすけ、小華さんのこと、好きなの?」

「はい?」

学生になった従弟は多感なお年頃らしい。口を開けば小華のことばかりで、好きなんだろうなと思っていた矢先にそんな台詞、正直何を考えてるのか分からなかった。

「俺は、好き」「へぇ」

「でも、小華さんはへーすけのこと好きでしょ?」

「そうなの?俺らそんな関係じゃないよ?」

「‥‥‥にぶい」

可愛いと思っていた従弟は大人になっていた。遠くの専門に通う小華とは最近会っていないが先日店で会ったときは俺も吃驚するぐらいに綺麗になっていた、が口の悪さは変わっていなくて安心したのだ。

「俺、本気だよ」「ふぅん」

「でも、へーすけと小華さんと‥みんなと友達のままでもいたい」

「難しいこと考えてるのねえ」

「へーすけは、小華さんのこと、好きじゃないの?」

「友達期間長すぎだしなあ」

「‥そんなんじゃ、横から取られても文句言えないよ」

「まあ、ハナが幸せならそれでもいいかな」

内気で口数少ない秋を今の彼にしたのは紛れもなくハナだった。俺はどちらかというと妹というか悪友のような立場だし、今さらハナと付き合うとか考えてもみなかった。でも従弟は本気のようで、少しだけムッとした。

「小華さんはへーすけのこと好きだもん」

「なら、略奪でもしますか?」

「‥していいなら、本気になるよ?俺は」



静かなる略奪宣言



いつの間にか、従弟は大人になっていた。変わらないと思っていたのに、俺は少しだけハナを意識し始めていた。


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