01
はじまりは自宅に現れた橙色のマッチョだった。
「‥だ、れですか」
『?』
男は私を見つめて頬を染めた。なんだなんだ、恥ずかしい格好でもしてるというのか?もこもこウサさん寝間着は少女趣味ってか?いいじゃないか可愛いものが好きで何が悪いというのだ。そう思っていると男は身動ぎ、寂しそうに俯いた。
「なにか?」
『これ‥坊っちゃんが言ってた世界に似てる』
「? ? ??」
『でもどうして‥俺なんかが来ていい場所じゃないはずだ、行き来が出来るのは‥坊っちゃんと‥大賢者のみ』
分からない言語で言葉を紡いでいる男、私は怖くなってベッドの端で震える他なかった。
『じゃあ、この子は?まさか術士とか、か?』
(男は泥棒か?見た感じ、そんな風には見えない)
(彼女からは魔力を感じない、いやそれだって隠しているのかもしれない)
(でも鍛え方を見れば自衛隊とかの軍人かそれに近いものであることがわかるし‥でも橙色なんて規則外だろうし、マッチョだなぁ)
「言葉が通じないのって厄介だなぁ」
漫画によくある、キスしたら言葉が通じました的な展開はあるのだろうか?漫画じゃあるまいしと思ったが、試してから「漫画か!」と某コンビのように男に思いっきり突っ込むことにしようと、自分の居る端から彼の居るところまで短距離ではあるが長く感じられた。のしのしと近づけば気付いた男と目が合う。
『なにか?双黒のお嬢ちゃん』
「動かないでよね、素晴らしい突っ込みを考えてるんだから」
小さな手が、男の肩に置かれ膝立ちのまま男を見上げた。男は分からないという表情のまま少女を見下ろしている。グッと顔を近づけて(‥は、恥ずかしいよく見たらこのマッチョさんイケメンじゃんか)ちぅ、と可愛らしく音を立てて触れた柔らかなモノに男は飛び退いた。
「きやあ!」
「なっ‥」
「びっ‥‥くりしたぁ」
「それはこっちの台詞ですぜ、お嬢ちゃん」
「「あ!」」
お互い通じる言語に顔を見合わせる
「ま」「ま?」
とたんに顔を真っ赤にして、わなわなと震える兎少女に男は首をかしげる。
「ままままんが、かあぁぁ!」
バシッと思いっきりした突っ込みは左頬への平手打ち
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始まりからやっちまった
/(^o^)\
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