Novel 第一夜 お星様のいじわる たった数ヶ月前出会ったクラスメートの少女、 千代子が海月にもたらす感情は、 同性ながらに「恋」に他ならない感情だった。 百合ーなんていうのはなんだか俗っぽいけど やっぱり、たぶん、百合なんだろう。 「月成さーん?ここなんて読むのー」 彼女が差し出した宿題プリント。 「『時雨』も読めないなんてー」 馬鹿なことは思ったけれど 千代子…海月の脳内ニックーネーム榊サマこと、 榊 千代子は、 下手なアイドルタレントよりもよほど整った彼女の顔。 馬鹿なはずなのに、誰とでも話せて明るくて 私とは違う地平の人なのに… 彼女が時々見せる表情は、酷く、硬く、冷たい とまあ、そんな榊サマに入学早々惚れちゃったのが、 この私、月成海月なんだけど。 ああ、なんで私はあの時はに噛んだんだろう… 「友達になろう」の一言を… ー…夢を、夢を見ていた。 初めてあの人と話した時の夢を。 が、耳障りの悪い目覚ましの音で目を覚ました。 「いい夢だったのに!死ね!」 目覚まし相手に意味不明な罵声を喰らわすが返答はない。 当然である。 というかー、私月成海月。 とある重要事項のため、 こんなことしている場合ではないのだ。 夢の中とはいえ好きな子との会話を邪魔されたのは 全く腹立たしいが、とりあえず私は溢れる不満をふりはらい 「榊サマの夢が見られた」 そんな気持ちで心を満たした。 [*前へ] [戻る] |