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もどかしいのはお互い様 4

そろそろ夜会も終わりが近づいている。
熱気は最高潮へと高まり、もう何人かこの場所から
いなくなっていた。

次の相手にうつる時に綱吉の身体が電流が流れた
ように熱くなった。
心臓がバクバクと音をたてて、顔が火照る。

まさか

すっと指が差し出されて
綱吉の手をとる人影と、その気配からすぐに誰だかわかった。

でもまさか

ここにいるわけない
間に合うわけがない

「一曲踊っていただけますか?」

その声と、近くで感じる体温と、
何より。

綱吉よりまだ低い身長からでもなおにじみ出る
不遜なその態度。
仮面をしていても感じる綱吉を見る視線で、
わかってしまう。

「もちろん…お願いします…俺でよければ」
「ふっ、上出来」

綱吉の手をとると、ホールの中央までリードしながら
躍り出る。
流れるような仕草で人を避けながら、たどり着いたその場所で
綱吉を見つめながらピタリと身を寄せて耳元に囁く。

「うまくなったじゃねえか」
「いつから、見てたの」
「さあな。」
「おれ、もう限界だよ」
「ああ、知ってる」
「連れていって」
「主役だろ」
「飾りだよ、いらないでしょ」
「はっ、自覚ねえな」
「…りぼーん…」
「そんな顔で見るな…」
「仕事は?」
「ああ、ヴァリアーに任せてきた」
「あ、あはははっ!ザンザス!」
「おあつらえ向きだろ」
「修繕費こわっ」
「よろしくな、ボス?」
「高いよ?」
「こええな」
「で?連れていってくれるの」
「俺も限界なんでな」

これ以上誰かに触れさせるのも、横恋慕もごめんだと
綱吉の手を引くとホールから走り出した。
巧みに避けながら、力強く手を握ってドアを開ける。

周りの目も気にならないほどに綱吉もリボーンだけを見ていた。

「あーあ、結局こうなるんだよな」
「ほんとう、あの赤ん坊ムカつく…」
「でもよ、もう早くあのツナのフェロモンなんとかして
くんないと俺たちも大変なのな」
「まあな」
「僕が何とかしたかったよ」
「ははっ、さて、おれたちはもう一仕事しますかー」
「もう僕は嫌だ」
「引いてはツナの為なのなー」

まだ、夜会は終わりそうにない。





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あきゅろす。
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