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花火
獄ツナ(状況提供タビノさま)

夕暮れ花火


「十代目〜花火しませんか!」

ニカッと音がしそうな笑顔で獄寺くんが両手に花火を持ってやってきた。

「わあ〜!いいね!やろうよ。」

とは言ったものの…

見上げた空は、まだ夕暮れ。薄紫に染まり僅か光る三日月が顔を見せていた。

「まだ暗くならないっスねぇ」

「今だとさ、7時過ぎても明るいよね〜」

獄寺くんを庭に招き入れ、縁側に腰を下ろす。
母さんが切ってくれた西瓜と麦茶を横に、少し恨めし気に空を見る。

「十代目、もうやっちまいますか!」

「え?!」

「あまり遅いとお母様にもご迷惑ですよね?なら、たまにはこんな時間から花火も乙なもんですよ!」

「獄寺くん…」

バケツに水を入れて、蒲鉾の板に蝋燭を立て水に浮かす。
ゆらゆらと揺れる炎から上がる煙りが、細く風にたなびいた。

「どれやりますか?」

ガサガサと袋からカラフルな包装のそれを出して、普段から持っているダイナマイトのように指にズラっと並べて。

持っているものがダイナマイトでないだけで、こんなにも年相応に無邪気に見える。

「あ、これ!」

花火の先に火をつけてしばらくするとパチパチと音がして赤い炎が爆ぜる。

「じゃあ俺はこれを」

水に浮く蝋燭に花火を近づけ火をつける獄寺くんが、何故か今すぐに居なくなってしまうような感覚に陥って、少し体が震えてしまった。

「あ、オレンジの炎ですよ十代目!貴方と同じ色っすね!」

たくさんの指輪が嵌められた形良い指先に持たれた花火からはオレンジの炎。

「俺のは赤だったから、獄寺くんの色だね」

何だか嬉しくてふふっと笑うと、目の前の獄寺くんが急に真剣な顔になって、きょろきょろと辺りを見回したから俺でも気がついた。

「母さんはキッチンだから、誰も来ないよ…」

獄寺くんの顔を見つめたまま、そう促すと驚いた顔をした。

わかるよ、君が考えてる事だったらさ、それは今おれも考えている事だから。

縁側から庭に降りて、植え込みで身を隠すように屈むと、近づいた距離に心臓がドキドキと鳴って、全ての音が遠退いた。

そっと目を閉じると、獄寺くんの肩が俺の肩に触れて、次に唇には獄寺くんの唇が触れた。

片手には終わってしまった花火、もう片手には獄寺くんの指先が繋がれて、一度だけギュッと握られる。

触れただけの唇はすぐに離されてしまったけれど、その感覚にさっきとは違う震えが体を走っていく。

離れた唇に目を開くと、照れたように笑う獄寺くんの顔と夏の夕暮れ空。

花火は夏の終わりを象徴するようで、儚くて本当はあまり好きじゃなかったけれど、獄寺くんが笑うからおれも好きになった。

庭にしゃがんで、隠れてこっそりキスをして、繋がれた指が優しくて、夏の終わりのような寂しさは君のせいでなくなったよ。

夕暮れの中君と二人。

爆ぜる花火と君の…




タビノちゃんからインスパイアされた夕暮れ花火でした(笑)
花火たいしてやってなーい(笑)最近本当明るくて花火やるの遅くなるよ!たまには大人だけで、ビール(飲めないけど)片手にまったり花火をしてみたい!




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あきゅろす。
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