[携帯モード] [URL送信]

5927
君が産まれた日


獄寺くんの家での誕生会の帰り道、二人きりで歩く俺の家までの距離。

「十代目、今日はありがとうございます」

本当は二人だけでのお祝いも考えていたんだけど、大事な君の産まれた日を大好きな仲間と祝いたいと心から思ったんだ。

「まさか雲雀さんまで来るとは思わなかったね」

群れを見つけた雲雀さんが獄寺くんの部屋に窓から乗り込んで来て、山本に引っ張り込まれてたんだっけ。

「参りましたよ、せっかく十代目が持ってきてくださったケーキが台なしになるとこでした」
「あっぶなかったよね!」
「野球バカを盾にして正解でした。」
「ふっはは、山本災難だった!」

帰ると暴れだした雲雀さんが、危うくケーキまで潰しそうになって獄寺くんが咄嗟に山本を盾にケーキを守ったんだ。

リボーンを始め皆が出しものをしたりして、最初は照れていた獄寺くんも最後は笑顔で。




「獄寺くん…」
「はい」
「俺は、君に出会えて本当に嬉しい」






遠くに見える真珠色の月から視線をゆっくり獄寺くんに移すと、真っ直ぐに綺麗な色の目を見た。

「君が笑っていてくれて本当に嬉しい」
「十代目…」
「ありがとう、大好きだよ獄寺くん」

心を贈るようにそっと大切に手渡した言葉。

「お…れ、こそ…ありがとうございます十代目!や、不意打ちですよ…」
「泣いてる」
「見ないでください…やべぇ嬉しいです十代目…」
「恥ずかしくないよ?どんな君でも、大事だから」

世界中にある優しい言葉を束ねて、全部君に差し出したい。
だけどそんなものじゃ足りないくらい大切で、大好きだ。


「ありがとうございます、俺も貴方がこの世界中、いや宇宙の中のどんな存在より大好きで大切です」


綺麗な色素の瞳に見つめられて、その目からこぼれ落ちる雫が伝う前に唇に受け止めた。

「じゅ……」
「もったいない…俺なんかに」
「…っに言って…」
「これからも君の側にいさせて…」
「嫌だと言っても絶対離しませんよ?」
「うん、ありがとう」

涙を掬った唇に、柔らかく重ねられた獄寺くんの唇。

少し震えていて、尚更愛しくて、何だか俺まで泣きたくなった。

「すき…獄寺くんが、好きだ」

何度でも伝えたい、君が産まれた大切な日が終わるまで。


そっと、獄寺くんの胸に手を添えて少し背伸びをすると唯一無二の存在に口づけた。



誕生日おめでとう、今日は











[次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!