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夜灯祭(よとぼしまつり)4




「うわっマジ街灯もついてないんスね…」

「そうだよ真っ暗だけど、この灯りが綺麗なんだ………」


二人でしばらく歩いて辿り着いたのは、並盛神社へと続く参道。




両端に並べられた蝋燭の灯りが延々と神社までの坂道を照らして、まるで黄泉へと続く階段のように見えた。

目に見えぬものへの畏れのように、自然と姿勢が正される。


「綺麗だね……」

「は…い」


橙色の影が十代目の横顔に落ちて神聖なものに見えて、ただ頷いた。


本当に綺麗だと思った……。


並んで歩く参道も、ただ二人だけのような錯覚さえ覚えて、なんだか泣きたくなる。

日本独特の神妙な空気のせいだろうか。

砂利を踏み締める下駄の音、両端の竹林にゆらりと揺れる焔(ほむら)、白く細い十代目の顔(かんばせ)


どれも胸を締めつけて苦しい程…………


黙々と歩く俺の手に、十代目の指が触れた。

そのままスルリと重なった指先が、俺と同じように熱くて困った。

期待してしまいそうで怖くて十代目の顔が見れなくて視線を感じたけれど、見ないでいた。

見たら最後、ただの右腕ではいられない予感がして……………




ぎゅうっと握りしめられた指先に答えは出ていたのに。

「もうすぐ境内ですね」

橙に照らされた道を僅か見上げると、神社の境内には松明が燃え盛っていた。


「…痛っ……」

「十代目?!」

かくんと姿勢を崩した十代目と指先で繋がっていた俺は慌ててその身体を引き寄せた。

「足、挫いたみたい…」

引き寄せた勢いで、胸元近くに抱き寄せたように身体がピタリと密着して慌てて離そうとしたら、十代目の眉が悲しげに下がった。



「…このまま境内まで連れて行って…?」

一人じゃ歩けそうにないと、縋るように。

だ、よな…何を勘違いしているんだ俺は。
この雰囲気に呑まれるな。

浅く息を吐いて、抱き寄せた腕に力を入れた。







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あきゅろす。
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